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近畿地区特別講演会報告
近畿地区担当幹事  三好 真二
   
実 施 日 平成29年7月7日(金)13:30〜16:00
テ ー マ 第1部「化学・石油精製プラントの運転中の事故防止の考え方」
第2部「プロセスプラントにおける『ものずくり×loT』を考える」
講   師 第1部九州大学 名誉教授 工学博士
 松山 久義 様
第2部アズビル アドバンスオートメーションカンパニー
 SSマーケティング部 2Gr グループマネージャー
 高井 努 様
会   場 新梅田研修センター
 大阪市福島区福島6-22-20
参 加 者 81名 (計装士会12名)
主   催 (一社)日本計装工業会
共   催 計装士会
   
   平成29年度近畿地区上期活動として、(一社)日本計装工業会主催の「特別講演会IN
  大阪」に共催という形で参加させて頂きました。
   第1部では、プラントの運転中に発生する保安事故を対象にそれを防止する仕組みの理
  想的構造と現実の構造について、現在の技術レベルおよび経済状況という制約下で実現
  に努力すべき現実的な事故防止の仕組みの構造について、特に計装に関係のあるところ
  を中心にご説明頂きました。
   第2部では、日本政府が掲げる「超スマート社会」の実現に向けて物凄いスピードで進化
  し続けている中で、ものづくりの現場として「超スマート工場」とはどういうものか、その実現
  の ためにはどういうことを考えていかなければならないかについてお話頂きました。

講演概要

 第1部:化学・石油精製プラントの運転中の事故防止の考え方
   1.はじめに
   2.事故防止の仕組み
     2.1 設計中心の事故防止の仕組み
     2.2 運転中のプラントの事故防止の仕組み
      2.2.1 危険源の列挙
      2.2.2 引金事象の分類
      2.2.3 多重防御層
      2.2.4 現実の多重防御層の構造
      2.2.5 事故の分類
      2.2.6 事故防止へのアプローチ
   3.引金事象の列
     3.1 外乱の列挙
     3.2 誤操作の列挙
     3.3 故障の列挙
     3.4 誤作動の列挙
   4.多重防御層内の危険源のリスク評価
     4.1 基盤層内の危険源
      4.1.1 基盤層の分解
      4.1.2 誤操作防止(L0(B))内の危険源
       4.1.3 故障防止(L0(C))内の危険源
      4.1.4 誤作動防止(L0(D))内の危険源
     4.2 第1層内の危険源
      4.2.1 第1層の分解
      4.2.2 外乱防御・影響緩和(L1(A))内の危険源
      4.2.3 フールプルーフ(L1(B))内の危険源
     4.3 第2層内の危険源
      4.3.1 第2層の機能不全と危険源との関係
      4.3.2 対応操作実行中の誤操作とその危険源
      4.3.3 対応操作実行中の誤操作防止の活動
      4.3.4 環境整備
      4.3.5 対応操作実行中の誤操作防止の信頼度
     4.4 第3層内の危険源
      4.4.1 第3層の危険源の分類
      4.4.2 設備の能力不足
      4.4.3 設備の故障
      4.4.4 保安設備作動中の介入
       4.4.5 第3層の信頼度
   5.まとめ
     5.1 漏洩事故の防止
     5.2 第2層と第3層の入れ替え
     5.3 外乱防御・影響緩和のバックアップ
     5.4 実現に努力すべき多重防御層の構造
   6.残された課題

 第2部:プロセスプラントにおける『ものづくり×IoT』を考える
   第1章 今、何が起こっているのか
     ●技術ブレークスルー
     ●主要国の動き
     ●世界に先駆けてた『超スマート社会』の実現(Society 5.0)
     ●未来投資戦略2017から見えてくる超スマート工場
     ●社会の進化は加速
   第2章 ICTやAIの発展と人の役割
     ●ICTとAI
     ●AIの正体
     ●AIの限界
     ●AIと人のリスク要因の比較
     ●AIと人の相補関係
     ●10年後のプラント運転を考える
   第3章 超スマート工場の運転管理
     ●日本のプラント運転管理の現状と課題
     ●ものづくり×IoT 3つのポイント
     ●熟練運転員の叡智を継承・超越する「IoTエージェント」
     ●IoTエージェントを司る「データエンジニア」
     ●データエンジニアを支援する「スペシャリストネットワーク」
   まとめ
     ●超スマート社会と呼ばれる第5次社会は、明確にその姿を現し、物凄いスピードで
      進化し続けていくであろう。
     ●その真っただ中にいる今、ものづくりの現場を「超スマート工場」として進化させる
      ためには、まず、今の業務をしっかりと分析し、その課題と課題解決時の得られる
      価値を見据えることが重要である。
     ●そして、課題解決に適合する手段として、最新の技術や既存の技術の応用による
      現場毎の第二、第三の目となるIoTエージェントを導入していくことが鍵となると考え
      る。
     ●今のAIは強力なパターン処理マシン。制約は有る。
       ⇒ 進化を続けるためには、人の関与が必要。
       ⇒ AI(やICT)と人との相補関係が生産に価値を与える。人の仕事の価値を高め
         る。
       ⇒ IoTエージェント、データエンジニア、スペシャリストネットワークが連携する環
         境の構築。
     ●第5次社会は、これまでの働き方を変える時代でもある。
       ⇒ 物質、エネルギー、情報と時代とともに重要視する対象は変化してきた。
       ⇒ 第5次の社会、そして工場は、人を中心とした価値をより重視する社会へと進
         化する。
     ●超スマート工場の実現とは、IoT技術活用を考える以前に、スマートな人の行動、
      働き方を考え、大きく変革することで、人にとってより豊かな社会を築くための礎と
      なる新しい製造スタイルの創造であるかもしれない。

所 感

   全体で約2時間、各1時間程度の講演となりましたが、それぞれ非常にボリュームある
  内容だったので、あっという間に時間が過ぎ去りました。アンケートからも、もう少し時間
  があれば良かった、もっと詳しく聞きたかった、という感想も有り、大変有意義な講演会と
  なりました。
   計装士会としても、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、
  見学会 等を企画、開催していきたいと思います。
   最後になりましたが、今回の講演会にご尽力いただきました松山先生、高井先生、
  (一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝
  と御礼を申し上げます。
                                                 以 上

瀬尾専務理事 挨拶


松山先生 講演風景


高井先生 講演風景