活動名 | 1. JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 (倉敷地区) 2. 三菱自動車株式会社 水島製作所 |
実施日 | 平成29年(2017年)2月9日(木) 8:30~18:00 |
場所 | 1. JFEスチール株式会社 西日本製鉄所 (倉敷地区) 岡山県倉敷市水島川崎通 2. 三菱自動車株式会社 水島製作所 岡山県倉敷市水島海岸通 |
参加者 | 20名 |
主催 | 計装士会 |
協賛 | (一社)日本計装工業会 |
報告者 | 四国地区担当幹事 佐藤 和宏 |
1.はじめに
岡山県倉敷市にあるJFEスチール(株)西日本製鉄所(倉敷地区)および三菱自動車(株)水島工場を訪問しました。JFEスチール(株)西日本製鉄所(倉敷地区)は、鉄鋼の原料受入れから商品出荷まで行っており、福山地区との一体運用より世界一規模の鉄鋼生産を行っています。また、隣接する三菱自動車(株)水島工場は、自動車生産の主力工場の一つで、プレス工場から最終組み立て工場までの車作りの全工程作業を行っており、年間に軽自動車や海外向け普通車など約40万台を生産しています。
2.見学内容
(1)JFEスチール株式会社 西日本製鉄所(倉敷地区)(見学センターのみ撮影可)
見学センターの大ホールで、西日本製鉄所として福山地区と倉敷地区を合わせた規模感や、倉敷地区について、製鉄所として発展した背景は「地盤がしっかりしていること」、「自然災害が少ないこと」、「水深の深い(17m)港があること(製品の7割強を船で出荷)」の3点があり、東京ドームの240倍、東京の千代田区と同じ広さに社員3300名を含め、9000名が働いているとの説明がありました。
また、製鉄の各工程として高炉で銑鉄を取り出す「製銑(せいせん)」、銑鉄から硫黄やリンなど不純物および炭素を除去して鋼(はがね)とする「製鋼(せいこう)」、製鋼で造られたスラブ(鋼片)を1㎜以下の薄板から400㎜までの厚板に加工する「圧延(あつえん)」などについてビデオ上映等による説明を受けました。
その後、バスに乗り黒くそびえ立つ高炉に向かい、一旦稼働をはじめたら18年間は停止することが無いという高炉の底から、銑鉄を貨車に流し込む様子をバスの中から見学しました。
続いて、厚板を製造する圧延工場に移動し、工場内の見学通路で板厚ミルのローラー上でスラブを移動させながら上下に挟むローラーで圧力をかけ延して厚板製品に仕上げる様子を見学しました。厚みを1mm以下の精度でコントロールして最大幅5m超、長さ25m超までの厚板に全自動で仕上げている制御には、様々な経験やノウハウが盛り込まれていることは間違いないと感心しきりでした。
(2)三菱自動車株式会社 水島製作所(PRセンターのみ撮影可)
PRセンター1Fで見学の諸注意を確認したのち各人がワイヤレスレシーバーや帽子を受取自動車組み立て工場に徒歩で移動し工場見学がスタートしました。スポット溶接等のロボット達が、プレス後の軽自動車のアンダーボディと左右側面のボディやドアを溶接・製作して各部を組み上げ、スポット溶接の火花を散らしながらボディ骨格を完成させていました。
続いて、塗装が終わり出来上がったボディに、流れ作業でエンジンや足回り、内装、エクステリア等を組み付け完成車とする組立ラインを見学しました。これらの工程は、受注生産に対応しており受注仕様に合わせて異なる仕様の車が同じライン上で生産されています。
工場内は、有人荷物運搬車のほか無人の荷物運搬車も数多く走り回っているほか、組立ラインでも、タイヤやガラスなどの重い部品を簡単な仕組みで精度良く短時間で組み付ける工程は、ロボットによる自動化が進められています。複雑な部品や作業にノウハウがあるような工程は人が作業を行っていますが、ロボット等による省力化の範囲はさらに広がっていくものと思われます。
続いてPRセンターに戻り、2階の研修室で、水島製作所の生い立ちからの沿革や現在の概況などについて、ビデオ上映等による説明がありました。
1946年に小型3輪トラックの生産を開始してから、1970年に三菱重工から三菱自動車に分離・独立し、エンジン組立工場や鋳物工場などもある稀有な一貫生産工場で、近年は、軽の電気自動車もガソリン車と同一のラインで混流生産しているとのことでした。
おわりに
四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催で、天気予報では、雨の確立が高く、場合によっては雪が降る可能性があるなど心配をしておりましたが、工場見学をしている時間帯は、寒さが厳しくなることもなく、時折、日が射す落ち着いた天気でまあまあの見学日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営にご協力いただきまして誠に感謝しております。
今回は、瀬戸大橋を渡り、対岸の岡山県倉敷市の製鉄工場と自動車工場を見学してきました。日本でも有数の工業地帯に位置する代表的な事業者の工場であり、どんな設備を見学できるのか楽しみにしておりました。
JFEスチールでは、ローラーで挟んで圧延する板厚ミルを見学させていただき、赤いスラブが目の前のローラー上にあると10~20m程度離れているにも関わらず、熱が伝わってくるのがわかり、危険と隣り合わせの現場であることを実感しました。
また、三菱自動車では、多くの産業用ロボットが導入されている最先端の製造現場を目の当たりにし、益々、いろんなものを測定して数値化し制御する計装技術が重要になってくると感じました。
参加者の皆様におかれましては、普段は、なじみのない現場などの見学が、直接的・間接的に、皆様のお役に立つ何かを見つけて頂く機会となれば幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
最後に今回の見学会にご多忙な中、ご協力いただいたJFEスチール株式会社 西日本製鉄所(倉敷地区)および三菱自動車株式会社 水島工場の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことを祈念いたします
以 上