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活動報告(四国)

1. 株式会社技研製作所 高知本社工場  2. 高木酒造株式会社

活動名1. 株式会社技研製作所 高知本社工場
2. 高木酒造株式会社
実施日平成27年(2015年)2月4日(水) 8:00~17:00
場所1. 株式会社技研製作所 高知本社工場
   高知県高知市布師田
2. 高木酒造株式会社
   高知県香南市赤岡町
参加者18名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 土田 雅彦
1.はじめに

 高知県高知市にある㈱技研製作所の高知本社工場と、香南市にある高木酒造㈱を訪問しました。
 ㈱技研製作所は建設工事の無公害工法・機械の開発・販売を手掛けており、土木基礎工事の杭打込みでは世界トップクラスのシェアを占めています。
 高木酒造㈱は小さな蔵元ではありますが、米、水等素材を活かし地域性豊かな魅力ある日本酒造りを行い、これまで鑑評会で優秀な成績を多く収めています。

2.見学内容

(1) 株式会社技研製作所 高知本社度工場

  建設工事の無公害工法として「インプラント工法」を、無公害機械として「サイレントパイラー」を開発、販売しています。
  インプラント工法は、地盤の深い位置まで構造部材を差込む構造で、従来主流であったフーチング構造(堤防、擁壁などの構造物において、安定させる目的で基礎の部分を大きくする構造で地盤浅くに据付)よりも津波などの外力に対して高い耐力性を発揮します。フーチング構造は、常に最大容積を持つフーチング部が構造物の最下端に位置するために、仮設工事、施工面積共に膨大になりますが、一方、インプラント構造は、後述サイレントパイラーを適用した施工により、仮設工事不要で施工面積も大幅に縮小できるため、環境性、安全性、経済性にも優れて
 います。
  サイレントパイラーは、公害を発生しない圧入工法の杭打機械で、土木基礎工事での杭打込みにおいて、従来の打撃や振動で打込む工法で発生する騒音、振動等公害に対処するために世界に先駆けて開発されました。
 機械は、杭の搬送・建込み・圧入などの全作業を杭上で連続施工するのが特長です。原理は、杭を引抜く際に必要な大きな力(引抜き反力を利用て油圧で杭を押込むもので、機械下部の爪で複数の杭を掴んで反力とし、杭を押込んだり引抜いたりします。
  無公害のうえに機械は杭上を移動するため、従来工法に比べ、仮設工事や作業用地が不要となり工期短縮も図れるとともに、狭隘地等制約条件下でも施工可能で画期的な機械です。
 これら概要について、ビデオ等により机上説明していただいた後に工場内を見学しました。
 建屋内には、サイレントパイラーや他の開発した建設工事機械も実物展示されていました。
 各機械はビデオ、パネルで施工事例等が詳しく説明され見学者向けにわかりやすく工夫されていました。
 機械製造は社外委託しているので、ここには製造工場はないとのことでした。
  建設工事機械以外に、インプラント工法、サイレントパイラーで培った技術を応用した環境、景観対策となる地下開発事業にも取り組んでいました。円柱状の地下空間を利用した立体駐車場「エコパーク」や立体駐輪場「エコサイクル」です。自動で迅速な車両出し入れを可能とする入出庫システムも独自開発していました。自動車、自転車の搬送される様子を間近に見ることができ、システムの各部動き、制御に感動しました。
 どの機械、設備も独創的、画期的な発想技術であることに感銘を受けました。

机上説明
サイレントパイラー外観
サイレントパイラー施工イメージ
エコパーク外観 (地上入出庫エリア)
エコパーク (車両入出庫状況)
見学者集合写真 (エコサイクル前)

(2) 高木酒造株式会社

  高知市から東へ25km、県のほぼ中央に位置する赤岡町にある創業120余年の会社です。
  赤岡町では、毎年4月、浜辺で、地曳網でとれたての どろめ(いわしの稚魚)を味わう「どろめ祭り」と、7月に、幕末の町絵師「金蔵」の描いた屏風絵を夏祭りの夜に飾る「絵金祭り」が二大祭りとなっています。
 どろめ祭りのメインイベントでは、男女の酒豪たちが飲みっぷりを競う「大杯飲み干し大会」があり、その大杯に注がれる酒が高木酒造のお酒です。この地で代々酒造りの伝統を受け継ぎ、現在の社長は5代目となります。
  蔵内は、黒光りした丸太梁あらわしの木造造りで昔ながらの味わいを醸し出していました。
 最初に見学したタンク倉庫の扉を開けるとフルーティーな香りが一面に広がり、上等品の酒の香りを体感しました。酒造工程をわかりやすく説明していただきましたが、その中で、日本酒は、糖化と発酵を同時に行うのが特徴で、両者をバランスよく同時に進めていくのが難しいことや、独特の香りの源は酵母の作り出す香気成分に由来していることがわかりました。
 また、日本酒ベースの梅酒や梨リキュールの酒造りにも取り組まれていました。
  酒造りに掛ける情熱に感動するとともに、日本酒造りの基礎知識と奥深い魅力にほんの少しですが触れることができました。

見学者集合写真(事務所前)
おわりに

 四国地区の見学会は毎年厳冬期開催ですが、今回はそこまでの寒さはなく見学日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営へのご協力に感謝しております。
今回も地元、四国地区内にある会社を見学しました。
 見学した二社は、建設機械と酒の「ものづくり」に取り組んでいました。異業種ですが、新しいことを創造し挑戦する風土があること、見学対応していただいた方のご様子から、自社に対する誇りと愛情を感じたことは両社共通でとても印象的でした。
 参加者は、地元の身近なところにもそんな優良な会社があると知ることで、刺激を受けるとともに自社、自分自身を見つめ直すきっかけになったことと思います。
 また、次回の見学会もお楽しみにお待ちください。
 最後に今回の見学会にご多忙な中ご協力いただいた㈱技研製作所の高知本社工場、高木酒造㈱の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。
 高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことをお祈りいたします。

以 上

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活動報告(中国)

中国電力株式会社 柳井発電所

活動名中国電力株式会社 柳井発電所
実施日平成26年(2014年)12月9日(火) 13:30~15:00
場所中国電力株式会社 柳井発電所
  山口県山口市柳井1758-8
参加者16名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区幹事  遠部 日出夫
1.はじめに

 今年度は山口県柳井市の中国電力(株)柳井発電所を訪問しました。
 柳井発電所は出力140万kWの液化天然ガス(LNG)を燃料とする火力発電所で昭和62年3月に着工され、平成4年12月に1号系列、平成8年1月に2号系列の運用を開始し、中国地方最大の発電所となっています。
この発電設備で使用する燃料は、液化天然ガスで有害な一酸化炭素が含まれていない、クリーンなガスを使用しています。

2.施設概要

   敷地面積:約50万㎡
   発電出力:140万kW(70万kW×2系列)
   使用燃料:液化天然ガス(LNG)海上輸送(オーストラリア・カタール・オマーン) 
   (送電線)
   220kV×2回線(東山口変電所へ)
   110kV×2回線(柳井変電所、光変電所、田布施変電所へ)
   (環境条件)
   窒素酸化物‥‥‥‥‥1号系列 80N㎥/h以下
                  2号系列 80N㎥/h以下
   騒音‥‥‥‥‥‥‥‥敷地境界線55.65dB以下
   振動‥‥‥‥‥‥‥‥敷地境界線55dB以下
   取放水口海水温度差 7℃以下

3.見学内容

 まず、発電所ふれあいホール会議室で設備概要と発電の流れについてのビデオを見せていただき、全体の流れについて説明を受けた後、発電機室に移動し、一直線に連なるコンバインド型タービン・発電機室でガスタービンと蒸気タービンが効率良く発電機を回す、コンバインドサイクル方式の仕組みを理解することができました。
 次は中央制御室で、大小のディスプレイやTVモニタ及びコントロールパネルを見学し、少人数のオペレータで効率良く操作、監視されている様子が分かりました。
 最後に燃料LNGについて説明を受け、LNGは天然ガスからイオウ分などの不純物を取り除き、-162℃に冷却して液化したもので、このLNG冷却・液化することにより、体積を1/600にすることができ効率的に大量の天然ガスをLNG船で運搬できる仕組みを知ることができました。
その後、バスで施設外周を回り、6基のLNGタンクとLNG揚液桟橋のパイプライン及び高さ200mの煙突等を見学し、そのスケールに圧倒されました。

タービン発電機室
中央監視制御盤
3.おわりに

 心配していた天気も、好天で寒さも余りなく無事見学会を終了することができました。
 近年は原子力発電所の規制もあり、本施設はさらに重要度を増す火力発電所となっています。
 なかでも環境対策については、LNGタンク廻りの防液堤と水幕設備、また中央制御室には総合防災盤が有り、各種異常感知器・地震計測装置・高発泡設備・桟橋水噴射装置・構内各所に監視カメラを備え、万一の際の対策が整っていました。
施設全体がクリーンで、CO2排出量の削減や地域の活性化に貢献するという構想に大きく感銘しました。
  当日、分かり易く説明をしていただきました中国電力の皆様に感謝申し上げます。

以 上

発電所前にて
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活動報告(九州・沖縄)

『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

活動名『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

講師
アズビル㈱ ビルシステムカンパニー マーケティング本部
部長 福田 一成 講師
実施日平成26年(2014年)11月18日(火)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 久保 一昭
はじめに

 九州・沖縄地区では平成26年度の活動として、11月18日(火)に上記内容にて勉強会を開催致しました。 以下に概要の報告を致します。

福田講師 講演風景
講演内容

 テーマ 『計装士のためのビジネス&パブリックポリシー』

  1.パブリックポリシーとは
    ● 戦後の経済政策俯瞰
    ● エネルギー政策の返遷と計装のビジネス
    ● 環境政策と計装のかかわり
      ・経済政策の返遷 高度成長期(1954年~1973年)
      ・経済政策の返遷 安定成長期(1974年~1991年)
      ・経済政策の返遷 バブル崩壊後の経済(1991年以降の経済について)
      ・コージェネ等常用発電機の自立運転の課題(ジェネマスターによる制御例の紹介)

  2.震災後のパブリックポリシー~省エネ・低炭素化・節電・事業継続政策と計装技術
      ・省エネ・環境パブリックポリシーの返遷と計装技術(BEMS・BASの返遷)
      ・震災後の節電がBEMSアグリゲーター政策を後押し
      ・BASによる停電発生時対応方法(復電制御・自家発負荷配分制御など)
      ・電力負荷パターンによる効果的な節電対策(ムダをなくす節電と、ピークをシフトする、さらにピークにがんばる節電の組み合わせで効率的な節電対応が出来る。
       →クラウドサービスでの電力負荷パターンサービスが有効)

  3.これからの政策~省インフラとは→動き始めた省インフラ政策
      ・モノのサービスの市場が縮小するシナリオを想定しておくことが重要
       (国内空洞化→2020年は縮小する現実に沿った対応のはじまり)
      ・さらに迫る朽ちるインフラ問題(危機に対し一部の行政では「省インフラ」が始まっている。
      ・行政は減少する予算で増大する更新需要をまかなうジレンマに陥っている
       (更新に際し機能維持を最優先にし、ストックを大幅に減らし維持費を削減する工夫が必要)
      ・省インフラの手法:3階層マネジメント(施設を維持するのではなく、機能を維持する考え方、公と民の連携が必須)
       ① 1層→全域→広域化
       ② 2層→地域→多機能化→不動産有効活用
       ③ 3層→地区→ソフト化
      ・インフラ長寿命化計画(地方公共団体への展開→省インフラへの誘導)
      ・省インフラの基本手順
       ① インフラの 洗い出し
       ② 広域化、多機能化、ソフト化等対策検討
       ③ 上記を踏まえての長期更新維持計画の策定(指針では10年以上となったが、理想は30年)
      ・省インフラ時代に必要とされる計装技術
       ① 多機能化・分散処理
       ② 分散処理・バーチャル化
       ③ ランニングコストの低減
         *BASは施設の多機能化・分散処理を支援する
      ・遠隔計装技術は施設管理のバーチャル化を支援する
       (広域ビル管理ネットワークサービス→アズビル㈱製品)

  4.次世代計装技術の展望
      ・BAS(BEMS)の進化型としてCEMSクラスター型エネルギーマネジメントシステム
      ・スマートグリッドにおけるBASの役割
      ・EV充(放)電システム管理方法によるビル側対応
        *EVテレマティクスデータの活用事例紹介
      ・今後ニーズが高まる計装サービス
        *Web型建物設備管理支援システム(遠隔センターやアプリケーションなどの投資が不要)
        *エネルギー・室内環境データの管理サービス(インターネット環境とパソコンがあれば、新たな設備投資や専門のエンジニア無しですぐ始められる)
        *BIM(Building Information Modeling)への対応

受講風景
所 感

  今回の勉強会では、時代の流れを背景に分かりやすくパブリックポリシーについて説明していただき、とても理解しやすかったと思います。また、省エネをベースとする計装サービスが計装におけるビジネスチャンスになりうるなど、興味深く拝聴しました。
  ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました福田講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(関東・甲信越)

独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 横須賀本部

活動名独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 横須賀本部
実施日平成26年(2014年)10月23日(木) 14:00~15:30
場所独立行政法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 横須賀本部
  神奈川県横須賀市夏島町2-15
参加者69名(うち計装士会15名)
主催(一社)日本計装工業会
協賛計装士会
報告者企画・研修委員 袴田 昭夫
1.はじめに

 今回の見学会は(一社)日本計装工業会の主催、計装士会の共催により海洋研究開発機構の見学会を実施しました。
 参加者は総勢69名、うち計装士会からは幹事を含め15名が参加しました。
 当日は天候にも恵まれ盛況に開催することができ、京浜急行追浜駅に13時に集合し駅前より貸切バス(2往復)で20分程度の場所にある見学施設へ移動、見学終了後も集合場所の京浜急行追浜駅までバス移動し現地解散となりました。

2.独立行政法人 海洋研究開発機構 とは

 海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology:JAMSTECジャムステック)は、海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより海洋科学技術の水準の向上、学術研究の発展に資することを目的として、2004年4月1日、前身の海洋科学技術センターから、文部科学省所管の独立行政法人として設置された研究機関である。
 日本最初の深海潜水艇の開発を始めとして、国際地球観測プロジェクト推進のための研究船などを開発運用し、長時間有人探査の難しい海溝探査を目的とした無人探査機等を開発運用している。またスーパーコンピューター(横浜研究所に設置)で、世界一にもなったことがある地球シミュレータを運用するほか、大陸棚に存在するメタンハイドレート、海底熱水鉱床、石油、天然ガスなどの資源等の探査も行っている。
 同機構の事業所には今回の見学施設、横須賀本部(同機構の本拠地で500人が働いている)や横浜研究所、むつ研究所、高知コア研究所、国際海洋環境情報センター、東京事務所が置かれている。また、船舶や探査機には地球深部探査船「ちきゅう」のほか13隻の調査船、研究船、支援船、探査機等を保有し日々海洋の研究を行っている。

3.見学内容

 海洋研究開発機構へ到着後、大会議室にて日本計装工業会経営委員会担当の司会進行で、同工業会の中谷専務理事より開催の挨拶の後、海洋研究開発機構広報担当者様より同機構の概要DVD映像と本日の見学内容の説明を受け、3班に分かれて各施設を見学させて頂きました。         今回の見学場所は同施設の中にある19棟のうち下記3か所を見学しました。

 □ 高圧実験水槽棟

   深海の水圧に対象物が耐えられるか、大型と中型の二つの実験水槽(深さ3m)があり最大5,000m相当の水圧がかけられる実験装置がありました。

世界で一番深い水深場所はマリアナ海溝(グアム島近く)で水深約11,000m。  

実験の際は、対象物をラックに入れ水槽上部 に10tの蓋をし、水槽下部より水を張り徐々に水圧を上げていき耐圧試験を行う。実験棟の中には有人潜水調査船「しんかい6500」の人が乗る耐圧穀(通称:コックピット)球体(2m)の1/3の大きさで作った球体(外形約1m、厚さ4cm重さ約1t)を試験水槽で3,200mの深さの水圧をかけて試験(「しんかい6500」の潜水の2倍の深さ) を行なった対象物が展示されており「しんかい6500」のコックピットが水深6,500mでも安全であることを確認し実用化されています。

   その他、展示で試験対象物の耐圧球体ガラスもあり実際の海洋水深7,000mでおこなわれた結果の実物展示も見ることができました。

 □ 展示施設棟

   展示棟「海洋科学技術館」には、有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型が設置されておりコックピット側面が切り取られており実際に一人ずつ中に入りパイロット気分を体験しました。 

  また、同機構が保有する船舶・調査機器の模型展示や生物展示室には深海から採取してきた深海生物の貴重な標本が多数ありました。

「しんかい6500」の実物大模型

 □ 整備棟

  整備棟には、長さ10mの深海巡航探査機「うらしま」があり、実際に本体の整備を行っている所を見学しました。深海巡航探査機には2種類のタイプがあり、母船からケーブルを伝わって操縦を船の上から行うROVタイプと、あらかじめコンピューターで探査するルートを組み込んで自分で考えながらケーブルなしで巡航するAUVタイプがあり、整備をしていた「うらしま」はAUVタイプの探査機で3,500m位の深さまで調査できます。       

  この、深海巡航探査機の主な研究目的は海底地形図を作成する為に撮影してくることであり、この探査機は支援母船「よこすか」で調査海域まで搬送され海洋へおろされ調査を行っています。今回の見学では深海巡航探査機「うらしま」が整備中であったが、終了後は有人潜水調査船「しんかい6500」の整備を交互に整備しています。また整備棟の前には250m岸壁があり、同機構が保有する研究船舶の母港となっており、岸壁遠くには当日天候もよく海上自衛隊横須賀基地施設や米軍横須賀海軍施設も望むことができました。

3.おわりに

 独立行政法人 海洋研究開発機構様の見学会を通し日頃、我々が目に触れない分野で日々活躍されていることを再認識致しました。また未知の海洋に関する研究開発等の説明には驚くばかりでした。日本初の原子力船「むつ」も1995年に原子炉を撤去 した後、通常のディーゼル機関を搭載し同機構の海洋地球研究船「みらい」と命名され現在も海洋調査を行っていることを聞き感動致しました。
 今回の見学会の実施にあたり親切、丁寧に説明ご案内いただきました独立行政法人海洋研究開発機構の関係者皆様に心からお礼申し上げます。

以 上

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活動報告(東北・北海道)

①『空調自動制御のチェックポイント』 ②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

活動名①『空調自動制御のチェックポイント』
②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』  
講師
① 助飛羅 力(すけひらちから)講師
  三機工業㈱ 建築設備技術本部 技術統括本部
  技師長室 技術エキスパート
② 桧山 達哉(ひやまたつや) 講師
  ジョンソンコントロールズ㈱ プロダクトマーケティング統括本部
実施日平成26年(2014年)10月22日(水) 13:30~16:50
場所ハーネル仙台 6F
宮城県仙台市青葉区本町2-12-7
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者東北・北海道地区担当幹事 川崎 久
1.はじめに

 平成26年度東北・北海道地区の勉強会を、平成26年10月22日にハーネル仙台にて実施いたしましたので、ご報告申し上げます。

2.講習会内容

 テーマ
  ①:『空調自動制御のチェックポイント 』

 近年、ビルマルチエアコンの普及などにより、熱源・空調機のシステムの経験や自動制御に関する知識、経験が減る中で空調設備の自動制御の設計・施工・保守に関しての留意するポイントを設備施工業者の視点から下記の内容について解説を頂き ました。

1.全体
 設計仕様の確認、客先仕様の有無の確認、2管式と4管式、計装設計図の表示

助飛羅 講師

2.機器回り
  機器構成、冷凍機、冷却塔、ポンプ、空調機、水槽まわりなどのチェックポイント
3.制御弁・VAV
  制御弁、VAVのチェックポイント
4.センサ
  センサの仕様、温度センサの設置流量計の設置の留意点
5.盤・配線
  自動制御盤の構成、停電・瞬停時の動作
  インバータのオプション設定、配線ルート
6.改造工事
7.保守

テーマ
 ②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

  ITの基礎として、コンピュータの単位、通信に関する基礎の解説から、ビル設備で使用されるプロトコルの種類と比較と現状 BACnetⓇ・オープン
化などを含め現在の動向と今後の方向性について下記の内容で解説を頂きました。

 1.ITの基礎
   コンピュータ通信における基礎用語
   解説、OSI参照モデル
 2.ビルの中で使われるプロトコルについて
   代表的なプロトコルの比較
   BAシステム概念、BACnetの変遷                 
   LonWorksの特徴と変遷
   新たなオープンシステム
 3.BACnetⓇについて
   BACnetとその特徴、認証について
 4. オープン化について
   市場環境・動向とオープン化の将来と必要性について

勉強会の様子
3.まとめ

 本講義を受講させていただき、大変勉強になったと感じています。実務に基いた設備施工者の視点からのチェックポイント・留意点の解説の講義は実務の中で大変参考になる内容でした。また、IT・通信の専門的な観点から、BAの通信技術の現状と将来的な方向性について解説頂いた内容は、普段の業務から一歩踏み込んだ制御技術を支える通信規格に関して知識を深めると共に、現在注目されるスマートコミュニティやZEBを絡めての解説は興味をそそる内容でした。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・解説頂きました助飛羅様、桧山様には厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。                                          

以  上

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活動報告(中部・北陸)

「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」

活動名「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」
講師
福田 一成 講師
アズビル株式会社 ビルシステムカンパニー マーケティング本部 部長
実施日平成26年(2014年)9月26日(金)14:00~17:00
場所愛知県産業労働センター(ウインクあいち)
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区幹事 柏原 達司
はじめに

 中部・北陸地区では平成26年度の上期活動として、上記の勉強会を開催しました。
以下、概要をご報告いたします。

概 要(項目)

 ① パブリックポリシーとは
    ・戦後の経済政策俯瞰
    ・エネルギー政策の変遷と計装のビジネス
    ・環境政策と計装のかかわり

 ② 震災後のパブリックポリシー~省エネ
    ・低炭素化
    ・節電
    ・事業継続政策と計装技術

 ③. これからの政策~省インフラとは

 ④. 動き始めた省インフラ政策

 ⑤. 次世代計装技術の展望

講習風景

所 感

 講演のタイトルは、聴講する人達に、その講演で何を伝えたいかを表す最初の短い発信文であり、講師の意とする部分を端的に表していると思います。ビル、又はプラントのどちらを担当しているか、何の職種を担っているかによって、今回の講演から受けたものは違うと思いますが、タイトルの「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」を一見して“何?”と思われた方も、講演後にはなるほどと思わせる中身の非常に濃いものでありました。
 我々の業務は、単に装置(システム)をコントロールし、その計測により状況を的確に捉え更に最適な環境、システムを作り上げることから、常にパブリックポリシー(政策)を意識した「計装」へと進んでおり、BASとして快適環境への制御を主体とした時代からエネルギー政策や環境を支えるBEMSへと、又、BCP(事業継続計画)を構成するに当たり欠かせない機能を提供するための制御へと進化していると解説されました。
 インフラに対する考え方も、システムが広範囲に肥大化していくものへの対応から、長期にわたる維持・継続を見据えたコンパクト、多機能化、長寿命化などによる省インフラ、公共施設の適正配置、コンパクトシティに向けた都市再生型の対応へと転換が今後進められていきます。又、EV充(放)電システムの設置方法についての解説は、我々の身近に有る電気自動車がスマートグリッドにおける機能であり、パブリックポリシーに関連し繋がっているということで、BASが自分の生活環境の一部にもあるのだということを認識させてくれました。
 今回は、BASがいかにパブリックポリシーの一翼を担っていくか、プラント技術者には少々難しかったかも知れませんが、“次回も是非参加したい!“との意見もあり、視野を広く大枠として「計装」をとらえた場合の知識習得には大変に有意義でありました。
 最後になりましたが、講師の福田様にはご多忙中にもかかわらず、幅広いご活躍の中から貴重な講演を頂き大変にありがとう御座いました。今後とも更なるご活躍をご祈念いたします。

以 上

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活動報告(近畿)

「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」

活動名「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」
講師
アズビル㈱ ビルシステムカンパニー マーケティング本部
部長 福田 一成 講師
実施日平成26年(2014年)9月25日(木)14:00~17:00
場所TKP大阪ビジネスセンター
 大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル
参加者16名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二
はじめに

 平成26年度近畿地区上期活動として、上記勉強会を実施しました。
 「パブリックポリシー、政策はビジネスには不可欠の知識であり、ただ知っているかどうかで仕事の仕方も成果も大きく変わってくる。」というお話からスタートしました。
 戦後から現在に至る経済政策、エネルギー政策、環境政策の変遷、そして、これからの政策と計装技術、次世代計装技術の展望へと、BAS(ビルディングオートメンションシステム)BEMS(ビルディングエネルギーマネジメントシステム)の事例を中心に豊富な資料をもとに非常に分かりやすくご説明いただきました。

勉強会概要

 1.パブリックポリシーとは
   政策・・・ビジネスには不可欠の知識。
   ●経済政策の変遷
   ●エネルギー政策の変遷
   ●環境政策の変遷

 2.震災後のパブリックポリシー
   震災の前後でパブリックポリシーは大きく変化。
   ~省エネ・低炭素化・節電・事業継続政策と計装技術
   ●省エネ・環境パブリックポリシーの変遷と計装技術(BEMS・BASの変遷)
   ●BASにおけるBEMS機能の進化の経緯
   ●BCP(事業継続計画)のBASの基本機能
   [東日本大震災時のクラウドデータによる電力需要分析と節電効果調査事例]
   ●震災直後の電力負荷パターン調査例
   ●2011年度夏季における電力使用制限令の民生業務分野への影響度調査
   ●2011年度冬季西日本におけるピーク時の業務用ビルの電力使用状況調査

 3.これからの政策~省インフラとは
   「省インフラ」とは、これまでの大規模なネットワークインフラに依存していた社会ではなく、できるだけインフラの負担を軽減しながら、質の高い生活を維持するためのサービス提供の方法、技術、暮らし方の総称。
   ●モノもサービスも市場が縮小するシナリオを想定しておくことが重要
     2020年は縮小する現実に沿った対応へのはじまり
   ●省インフラの手法:3階層マネジメント
     施設を維持するのではなく、機能を維持する考え方
   ●省インフラの技術1
     コンパクト化、多機能化
     分散処理
     デリバリー、バーチャル化
     ・・・インフラの物理的総量を減らすさまざまな技術
   ●省インフラの技術2
     ライフサイクルコストを削減する多様な技術が必要
   ●省インフラの事例
     広域化、多機能化、工場機能のインフラ化

 4.動き始めた省インフラ政策
   ●最近の省インフラ関連政策
     ・インフラ長寿命化基本計画
     ・公共施設等総合管理計画の策定要請(総務省)
     ・都市再生特別措置法改正(国交省)
     ・中心市街地活性化法改正(経産省)
   ●省インフラの流れがスマートエネルギーにどう影響するか
   ●省インフラ時代に必要とされる計装技術
   ●省インフラ時代に必要な人材
   ●システムインテグレーター

 5.次世代計装技術の展望
   ●BASを様々なスマート技術と連携させるための技術開発
     BASを連携させることで更なる価値創造
   ●BAS(BEMS)の進化形としてのCEMS
    クラスター型エネルギーマネジメントシステム
   ●スマートグリッドにおけるBASの役割
   ●スマートエネルギーとエネルギーBCP
   ●今後ニーズが高まる計装サービス
     設備管理のクラウドサービス例
     BEMS機能のクラウドサービス
     さらなるランニングコスト削減のための省エネ
   ●BIM(Building Information Modeling)への対応

聴講風景ー1
聴講風景-2
六平計装士会代表幹事 挨拶
福田 講師
おわりに

 全体で約3時間に及びましたが、アンケートの結果からも、満足・ほぼ満足で84.6%を占めており、時間を感じさせない有益な勉強会となりました。
 計装士会としても、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、見学会 等を企画、開催していきたいと思います。
 最後になりましたが、今回の講演会にご尽力いただきました福田講師、(一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝と御礼を申し上げます。

以 上

カテゴリー
コラム

美しい星空を次の世代に残す為に

ジョンソンコントロールズ㈱

オペレーションサポート本部

棚田 英之

光 害

馴染みの無い言葉かと思いますが、光害(こうがい、ひかりがい)とは、過剰な街明かりなどが天体観測や生態系に影響を与える現象のことで、近年ではエネルギー浪費の一部としても問題視されています。大都市での生活には利便性や犯罪抑制の観点からも街灯などはある程度必要ですが、必要以上の無駄な光は『光害』として規制する試みも始まり、天文マニアとしては喜ばしく思います。
 私は長年、計装の仕事に携わり、ビルの自動制御のさまざまな技術進歩を体験してきましたが、アマチュアの天体写真の世界にも近年、大きな技術革新が押し寄せてきています。本稿ではこれらの一端を紹介することで、計装関係諸氏に興味を持っていただき、更なる技術発展や光害抑制にも繋がればという思いもこめて、寄稿させていただきます。

元・天文少年

私は、小学校高学年の頃に小さな天体望遠鏡を買ってもらったことをきっかけに天文に興味を持ち、中学高校時代は天文部に所属して部活動に没頭しました。
 育ったのは地方都市ですが、当時から大気汚染や光害は存在し、学校や自宅から肉眼で天の川が見えることはありませんでした。
 夏休みに郊外の山間地で合宿し、夜空の一部にいつまでも雲が浮かんでいるなどと勘違いしたのが、私が初めて見た天の川でした。
 上京し大学に入ってからは、個人活動が主体となり、時々光害を逃れて信州(乗鞍岳や八ヶ岳周辺)へ遠征しては天体観測を楽しんでいました。当時から天体写真用のカラーポジフィルムは普及していましたが、感度はASA(現在はISO表示)200程度しかなく、星を点像に写すには、赤道儀という架台を使って、ややボカした星像を接眼部の十字線に合わせ、数10分もの間手動でギアを廻し続ける必要がありました。
 撮影には体力と忍耐が要求され、とてもロマンチックとは言えないものでした。

黒い太陽

 社会人になると仕事や他の趣味で忙しく、旅行で地方に出かけた時に夜空を仰ぐくらいの頻度になり、天体観測からは徐々に遠ざかっていきました。
 ハレー彗星やジャコビニ流星群など、ニュースになるイベント時には、仲間達から声が掛かり、仲間たちと遠征などもしましたが、普段は月刊誌でコンテスト写真や高嶺の花の望遠鏡広告を見て細々と気持ちを繋ぐ程度となっていました。
 転機は、会社がリフレッシュ休暇制度を付与してくれたことでした。グッドタイミングで海外への皆既日食ツアーに参加する機会を得たのです。
 日本本土では2035年まで待たないと見ることができない、まさに神秘的な天文現象です。
 ほぼ毎年、地球上のどこかでは皆既日食を見ることはできますが、月の影が投影される直径数百キロメートルの範囲に行かなければ、皆既とはなりません。
 2012年の5月に日本で見えた日食は、地球と月の距離が遠く、月の見かけが小さいのでリング状の太陽が残る金環日食でした。
 一度、皆既日食中の太陽コロナや紅炎を見ると虜になると言われていましたが、私もこのツアーで目にして以来「日食病」にかかり、その後、エジプトと中国に遠征することになりました。

皆既日食
金環日食

天文趣味の本格再開

 直近の2009年の中国遠征は、残念ながら天候に恵まれず、皆既日食は見られませんでしたが、このことがきっかけとなり天体観測を本格的に再開することとなりました。この時の皆既日食は鹿児島県のトカラ列島などでも地理的な条件は合っていましたが、受入体制が整わず、多くの日本の天文ファンが上海周辺へのツアーに参加しました。
 この時3回目の海外日食遠征ということで、初めてデジタル一眼カメラを購入したのですが、帰国後、せっかく買ったカメラを眠らせるのももったいないと、福島県の南会津へ遠征し、何十年か振りに星座写真を撮影してみると、驚くほどきれいに撮影できました。僅か1分の露出で、学生時代だったら、数十分かけても得られないものが簡単に写ったのです。パソコンなどでデジタルの世界には親しんでいたつもりでしたが、映像の世界の技術進歩も侮れません。しかも、まだまだ、性能は日進月歩で向上しつづけています。
 天体写真を再開して間もないうちは、社内の後輩にあれこれ丁寧な指導を受けブランクの穴埋めをしてきました。まだ、本格再開してからは4年目ですが、インターネットで得られる情報も豊富なので、今では完全復活したと自負しています。
 新月前後の晴夜には真冬でも遠征に出かけるほどで、昨年末は房総半島のダム湖畔で除夜の鐘を聞きました。
 沢山の機材を車に運ぶのは一苦労でギックリ腰も経験しましたが、家族の協力もあり、平均月1回くらいは観測に出かけています。現地は街灯のない、暗くて寂しい場所なので、苦手な方も多いと思われますが、夜空を見上げていれば、そんな気持ちもどこかへ忘れさせてくれます。また、現地で出会った同好の方との交流も楽しんでいます。

天体写真の機材

天体写真に使う機材は高価なものという印象がありますが、個人的には目的によってピンキリだと思います。趣味の世界なので、資金に余裕があり、最先端の機材を揃える方ももちろんいますが、私は学生時代に買ったものや、ネットオークションや中古で買ったものを改造して使っています。技術屋の端くれなので、オーバーホールなども楽しんでいます。
 星座写真や星景写真と呼ばれる分野は、一般的なデジタルカメラで十分楽しむことができると思います。三脚やシャッター用レリーズなどのアクセサリーがあれば、すぐにでもきれいな星空を手のひらに収めることができます。
 天の川や星座を点像に収めるには、数十秒以内の短い露出で切り上げる必要があり、もっとクッキリと写すにはモーターを内蔵した追尾装置が必要です。
 近年は専用のポータブル装置が製品化されているので、少しの投資でプロのような写真が撮れます。
 天体のクローズアップ写真を撮ろうとすると、本格的な望遠鏡や架台(赤道儀)が必要となりますが、過酷な使用環境(温度、湿度、夜露)なので、新品にこだわる必要はないと思います。ネットオークションなどでも盛んに取引きされており、手放す際も値下がりはほとんどありません。
 拡大領域の撮影には、追尾用カメラやパソコンも必要となってきますが、WEBカメラやWindows PCなどは中古品を廉価で入手することができます。

撮影機材
月面クレーター

天体写真のソフトウェア

天体写真加工のソフトウェアの進歩も目覚しく、少しコツは必要ですが、微かに写った淡い天体を画像処理で強調すると、子供の頃、天文台が撮影して出版していたような写真をアマチュアレベルでも容易に作ることができます。
海外版のフリーソフトも多いので選択に迷うほどです。

オリオン大星雲
アンドロメダ星雲

計装技術との関連

 一般的な天体写真の作り方は、同じ被写体を複数枚、同一条件で撮影し、パソコンのソフトで合成することでノイズを軽減し、解像度を増すというものです。
 ここで一番苦労するのは、10分程度の露光中、正確に星を追尾することです。天体写真に写る星像は完全な点なので、許容誤差はごく僅かです。架台の機械的な精度や地球自転軸との平行据付精度だけでなく、風や上空の気流の影響、大気の屈折、北極星との離角など、多くの不確定要素があり、自動制御のパラメータが最重要となります。
 空調の世界でも、暖房、中間期、冷房、朝、昼、夜と極端に変化する負荷を全て賄えるパラメータは存在しないので、DDCコントローラにはオートチューニング機能が用意されていますが、チューニング開始のタイミングが難しく、利用範囲は限定的で、ある程度の妥協を余儀なくされています。
 追尾用のソフトウェアはフリーソフトが広く普及しており、同様のチューニング機能を持っています。
 対象を撮影する都度チューニングするのは不便なので、手動のパラメータがいくつか用意されており、パソコンと格闘する時もあります。
 読者諸氏に専門家がいれば、是非とも関与して改良をお願いしたいところです。

今後の展望

チューニングがうまくいけば、追尾やシャッターはパソコン任せなので、夜空を見上げる時間もたっぷりとあります。流れ星に願掛けはしませんが、出会うと嬉しくなります。技術の進歩により、学生時代の努力や忍耐と比べると隔世の感があります。
 ハッブル宇宙望遠鏡やハワイのすばる望遠鏡など、世界最先端の大型望遠鏡で撮影する天体写真と競争しても無意味ですが、広域の対象を選べば、遜色のない写真を撮ることができます。アマチュアの趣味の世界は自己満足が最大の目的なので、学術性は気にせず、今後も自分の感性に合ったものを目指したいと思っています。
 加齢と共に体力が落ち、あと何年遠征して徹夜ができるのか気になりますが、チャレンジ精神を忘れず、2016年のインドネシア日食や2017年のアメリカ日食への遠征も密かに狙っています。また、マイ天文台を持つ夢も持ち続けています。
 健康に気を配りながら、生涯の趣味とする所存です。
 読者諸氏が夜空を見上げ、美しい星の輝きを後世にも残すべく、より一層のエネルギーの効率化、ひいては光害の削減にも関心を持っていただければ幸いに思います。

(文中写真はすべて執筆者による撮影)

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活動報告(四国)

① 『空調自動制御のチェックポイント』 ② 『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

活動名① 『空調自動制御のチェックポイント』
② 『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』
講師
① 助飛羅 力 講師
   三機工業㈱ 建築設備事業本部 技術統括本部 技師長室 技術エキスパート
② 桧山 達哉 講師
   ジョンソンコントロールズ㈱ プロダクトマーケティング部
実施日平成26年(2014年)7月24日(木)13:30~17:00
場所サンポートホール高松 63会議室
  香川県高松市サンポート2-1
参加者21名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 土田 雅彦
はじめに

 四国地区では、平成26年度上期の地区活動として、7月24日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

 1.空調自動制御のチェックポイント

   ① 全体
     ・設計仕様、客先仕様の有無の確認
     ・2管式と4管式
     ・計装設計図の表示
   ② 機器周り
     ・機器構成の確認
     ・冷凍機、冷却塔、ポンプ、水槽、油タンク、外気調和機、空調機まわり
     ・ファンコイルユニット ・ビルマルチエアコン
   ③ 制御弁・VAV
   ④ センサー
     ・センサーの仕様
     ・温度センサー、流量計の設置は
   ⑤ 盤・配線
     ・自動制御盤の構成は
     ・停電・瞬停時の動作は
     ・インバータのオプション設定は
     ・配線ルートは
   ⑥保守

 2.ITの基礎とビルオートメーションの通信バス

   ①IT(Information Technology)の基礎
     ・コンピュータ通信における基礎、用語
     ・プロトコル
     ・OSI参照モデル
   ②ビルの中で使われるプロトコルについて
     ・代表的なプロトコルの比較
     ・ビルオートメーション(BA)システムの概念
     ・ビルオートメーション(BA)で構成されるシステム
     ・BACnetの変遷、LonWorksの特徴・変遷
     ・ジョンソンコントロールズ・フィールドバスの比較
     ・新たな時代のオープンシステム
   ③BACnetについて
     ・BACnetの特徴、BTL(BACnet Testing Laboratories)認証のカテゴリー
     ・BACnetデバイス
   ④オープン化について
     ・市場環境・動向 スマートコミュニティの必要性
     ・市場環境・動向 次世代の社会システム構築
     ・市場環境・動向 ZBW(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
     ・なぜオープンシステムか

助飛羅 講師
桧山 講師
勉強会の様子
所 感

 ビル空調自動制御について、各種構成機器(空調機、冷凍機、冷却塔、ポンプ、油タンク、制御弁等)の設計・施工・保守に関して留意するポイント、ならびに自動制御用ネットワークシステムのプロトコル(コンピューター言語)概要とプロトコル標準化によるオープンシステムの必要性、次世代スマート・コミュニティ(電力、再生可能エネルギー、ビル省エネ等各種ネットワークのシームレス連係)への展望をご講演いただきました。
 お二人の講師には2年前にも関連テーマでご講演いただきました。
 設計・施工・保守に関しては、トラブル事例が盛り込まれ設備施工者の視点で充実が図られました。
 最適な自動制御とするには、客先要求仕様と現場状況の正確な把握が必要であること、既存設備仕様の制約上、自動制御対応が困難な場合があることなどがわかりました。
 また、ネットワークシステムに関しては、ソフトウェアの新しい知見でした。メーカの独自仕様(クローズドシステム)からメーカ間のシームレス通信を可能とするオープン仕様に変わることで、マルチベンダ化や汎用化によるシステムコストの低減や、さらに各種ネットワークシステムがシームレスに連係することで将来のスマートコミュニティ実現への環境整備に寄与できる可能性があることがわかりました。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず講師をお引き受けいただいた助飛羅様、桧山様に厚くお礼申し上げるとともに、講師ならびにご参加いただいた皆様の今後とも益々のご活躍をご祈念致します。

以 上

カテゴリー
活動報告(中国)

①『空調自動制御のチェックポイント』 ②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』

活動名①『空調自動制御のチェックポイント』
②『ITの基礎とビルオートメーションの通信バス』  
講師
① 助飛羅 力(すけひらちから)講師
  三機工業㈱ 建築設備事業本部 技師長室
  技術統括本部 技術エキスパート
② 桧山 達哉 講師
  ジョンソンコントロールズ㈱ プロダクトマーケティング部
実施日平成26年(2014年)7月23日(水)13:30~17:00
場所㈱中電工 上天満ビル8階会議室
  広島県広島市西区上天満町
参加者33名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 遠部 日出夫
概 要(項目)

 【テーマ① 空調自動制御のチェックポイント】
     ① 設計仕様の確認
     ② 機器構成の確認
     ③ 制御弁・VAV
     ④ センサーの仕様および設置
     ⑤ 制御盤の構成と配線
     ⑥ 保守契約について

 【テーマ② ITの基礎とビルオートメーションの通信バス】
     ① コンピュータ通信における基礎
     ② 通信規約(プロトコル)
     ③ ビルオートメーションの構成システム
     ④ 新たな時代のオープンシステム
     ⑤ 市場環境および動向

助飛羅講師勉強会の様子
桧山講師勉強会の様子
所 感

 多数の方が、興味を持った内容として、自動制御機の構成と確認ついて、また通信関係では、市場動向を踏まえた最近のITシステム構築についてを上げられていました。
 特に今回の勉強会参加者全員が次回も是非参加したいということで、大変 満足されたようです。
 最後に、両先生の現場実態における分り易い説明と経験に基づいた奥深い内容に感嘆し、魅了されました。
 今後とも、益々お元気で活躍されることを希望し、厚く御礼申し上げます。

以 上