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コラム

スキューバダイビング

ダイダン株式会社

東京本社 設計部

橋本 明洋

 はじめに

私とスキューバーダイビングの出会いは、2011年に沖縄に訪問した際の体験ダイビングでした。
 その時の状況ですが、台風接近が接近中ということもあり、ガイドさん曰く「透明度が悪く、うねりもあり、最悪のコンディション」という環境でした。
 そういった最悪の条件でしたが、ダイビングの魅力に取り付かれ、そのまま趣味としてスキューバーダイビングを続ける事になりました。

1.スキューバーダイビングの魅力

スキューバーダイビングとは、圧縮空気の入ったタンク(最近ではシリンダーと呼ぶそうです)などの水中呼吸用の器具を使い、潜水することです。
 スキンダイビング(素潜り)では息の続く間しか水中に留まることができませんが、器具を使用することで、長時間滞在することが可能となります。
 そのため、
  ・魚やウミガメなどの水中生物と一緒に泳ぐ
  ・サンゴ礁や海中洞窟といった地上にはない地形との遭遇
  ・無重力状態に似た浮遊感の体験
 といった体験をすることができます。
 「水中生物と一緒に泳ぐ」や「サンゴ礁や海中洞窟」というのは想像がつくと思いますので、「無重力状態に似た浮遊感」というのを少し詳しく説明したいと思います。
 水中では浮力が働きます。重量に対し浮力が足りないと海底まで沈んでしまい逆に浮力が大きすぎると水面に浮かんでしまいます。そのため、魚のように中層を泳ごうとすると、浮力を調整し重量とのバランスを取る必要があります。この
バランスが取れている状態のときは、装備している機材(総重量は約20kgほどあります)の重さを感じなくなり、なんとも言えない状態になります。

   仲間たちとの記念撮(鹿良間諸島)

2.ライセンスを取ろう

       クマノミ(鹿良間諸島)

こういった体験は、体験ダイビングと呼ばれる物でも経験することができます。ただ、体験ダイビングでは、例えるなら車の助手席に座っているような感じで、機材の操作は全てインストラクターの方に行ってもらうことになります。
そのため、私はもっと自由に潜りたいという欲求が強くなり、ライセンスを取ることにしました。
 スキューバーダイビングのライセンスは、Cカードとも呼ばれています。
 Cカードは、運転免許などの国家資格ではなく、民間の講習修了書です。また、認定団体も複数あり、主要団体では相互認証もされていますが、団体によって内容は少しずつ違うようです。
 講習の内容は、基本的に安全管理に係わる事が主となっています。スキューバーダイビングでは、特殊な機材を使い水中で活動するため、一歩間違うと死亡事故が起こります。そうならないように、工事現場と同じで安全教育を行い、その講習終了の証明書がCカードです。
 Cカードを取り安全管理を自分で行うことで、活動範囲を広げることができ、危険のない範囲でやりたいことができるようになりました。

ウミガメ(鹿良間諸島)
ウミガメと遊泳(鹿良間諸島)
青の洞窟(鹿良間諸島)
会場風景(鹿良間諸島、ボートから)

3.潜りに行こう

Cカードを取得し自由に潜れるようになると、やはり潜りにいきたくなります。
 関東から潜りに行くポイントとしては、主に伊豆半島に行く事が多いです。
 伊豆半島には、ダイビングポイントが多数あり、ポイントごとに水中の景色が変わるため、飽きがきません。
 一泊二日ぐらいのダイビング旅行であれば、伊豆大島も一押しです。伊豆大島へは竹芝桟橋からジェットフォイルに乗り90分で着くため、お手軽に行く事ができます。伊豆大島は、黒潮のルート上にあるため濃い魚影と、火山による地形 が楽しめます。
 長期の休みがとれるのであれば、やはり沖縄が別格です。台風後に海が濁って透明度が悪いという状況でも、10m~15mぐらいの視界が通っており、とても水がきれいです。(関東では、冬場のベストコンディションでも、視界は15m程度です)また、南方系のカラフルな魚が、サンゴ礁の上を泳いでいるのは癒されます。

                 マンタ(石垣島)

最後に

今回のコラムでは、スキューバーダイビングを紹介させていただきました。
 スキューバーダイビングの面白さ、楽しさを少しでもお伝えすることができたのであれば幸いです。もし、ご興味が沸きましたら、体験ダイビングからチャレンジされては如何でしょうか。

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活動報告(中国)

JFE スチール株式会社 西日本製鉄所 福山地区

活動名JFE スチール株式会社 西日本製鉄所 福山地区
実施日2019年2月26日(火) 見学時間 13:00~15:00
場所JFE スチール株式会社 西日本製鉄所 福山地区
  広島県福山市鋼管町1番地
参加者20名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区幹事  久城 啓
1.はじめに

 今年度は広島県福山市鋼管町のJFEスチール 西日本製鉄所を訪問しました。
 JFEスチールは、世界最先端のテクノロジーを駆使したダイナミックな製鉄ラインで 高品質な鉄製品を製造しています。(丸鋼管、鋼板、鉄道レール、H形鋼、棒・線材等)。

2.施設概要

   工場総面積(福山地区):900万㎡
     原材料ヤード:鉱石、石炭
     高炉: 4基
     製造設備: 製鋼、熱延、冷延、厚鋼、形鋼、鍍金、鋳造

3.見学内容

 まず、会議室で製鉄所の概要説明と全体工程の解説ビデオを視聴し、バスで敷地内の製造設備へ移動しました。広い敷地内には鉄道のレールが敷かれ効率よく材料を運搬するための専用機関車がゆっくり走っています。改めて東京ドーム300個分の広さを実感しました。最初に見えて来たのは高さ約100mの高炉です。この高炉で鉄鉱石溶解、還元して鋼(はがね)のもととなる銑鉄を作り出すそうで、炉内の温度は、最高で2,000℃以上になるという説明がありました。ここで使用される原材料は主にオーストラリアからの船による輸送で、岸壁近くの材料ヤードで貯蓄されていました。
 つづいて製鋼工場を通り熱延工場に移動し、1㎞にも及ぶ熱延ラインを見学しました。
 場内では、熱せられた真っ赤な厚さ25㎝の鋼片がゴトゴトと大きな音をたてて前方通って行きます。移動していく鋼片までの距離は、かなりありますが熱気を肌で感じることが出来ます。圧延機の直前に真っ赤な鋼片に水を吹き付けることで表面の不純物除去しながら、少しずつ厚さを薄くして行く工程を見ることが出来ました。ほとばしる大量の水は福山市を流れる芦田川から取水し、使用後は、ろ過を繰り返し再利用しながら、1日7万トン使用しているそうです。厚さ25㎝の鋼片は最終的に約2㎜~3㎜に延ばされ渦巻き状に巻いて併設されるコイルヤードで保管されます。コイル状に巻かれたばかりの製品は約500℃有り、自然冷却には3日位かかるそうです。
 この熱延工場で感じたことは、完全な集中管理によりオートメーション化され1㎞に渡る熱延ラインの中で、ほとんど作業者を見なかったことが印象的でした。
 一連の製造工場の見学を終え、再び会議室へと戻り、この製鉄所では地球環境を重視しながら、大気(粉塵対策)や水質などの環境保全に努め、徹底した省エネルギー活動を推進しているという説明がありました。

高炉
熱間圧延機
4.見学を終えて

 心配していた天気は、絶好の見学日和となり、東側岸壁の原料ヤードから高炉、製鋼、熱延、冷延、巻取、製品倉庫へと西側に向け直線的に効率良く配置された流れを見ることが出来、無事見学会を終了しました。
 終わりに、この見学会で、JFEスチール西日本製鉄所の皆様には各要所で丁寧な説明をしていただき、こころより感謝申し上げます。

以 上

玄関前にて
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活動報告(関東・甲信越)

① 川崎火力発電所 ② NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎

活動名① 川崎火力発電所
② NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎
実施日平成31年(2019年)2月6日(水) 9:00~17:00
場所① 川崎火力発電所
  神奈川県川崎市川崎区千鳥町5-1
② NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎
  神奈川県川崎市宮前区南平台1-1
参加者26名(うち計装士会17名)
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 橋本明洋
1.はじめに

 今回は「川崎火力発電所」および「NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎」の見学会を実施しました。参加者は総勢26名、うち計装士会からは17名が参加しました。
 当日は川崎駅を定刻にバスで出発し、最初の見学先である川崎火力発電所に向かいました。道中は渋滞に巻き込まれる事もなくスムースに移動できたため、予定より早く目的地に到着してしまいました。
 川崎火力発電所では、世界最大級のMACC及びMACCⅡ発電システムを2班に別れ見学を行いました。
 川崎火力発電所の見学終了後、羽田空港第2ターミナルで昼休憩を挟み、NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎にて、東名高速及び第2東名高速の道路管制を行っている指令所を2班に別れ見学を行いました。
 見学後は、武蔵溝の口駅、川崎駅と別れ解散となりました。
 当日は小雨が降るなかの見学会となりましたが、事故や遅延もなく全工程を完了し、無事に見学会を実施する事ができました。
 また、アンケートの評価もよく、参加者にも満足いただけたと思います。

2.川崎火力発電所見学

 (1)施設概要
    川崎火力発電所は、280,000m2の敷地面積内に50MW級の火力発電システムが4基、71MW級の発電システムが2基の計6基の火力発電システムが設置されており、その運転・管理を行われています。
   設置されている火力発電システム(MACC及びMACCⅡ)は、世界最高水準の高効率を誇るガスタービンが使用
   されています。

集合写真 (川崎火力発電所)

 (2)ガイド付き見学ツアー
    施設概要の紹介・説明後、移動経路の都合により2班に別れ施設内の見学を行いました。

  ○ 発電設備
    最新鋭の発電システムであるMACCⅡでは、熱効率を上げるため燃焼ガス温度を1,600℃(MACCでは1,500℃)で運転されている。1,600℃という高温では金属が溶融する温度になるため、ガスタービンのフィンに は金属ではなく、セラミックが用いられている。また、セラミックのフィン周囲に空気の断熱層を形成するための吹き出し口を設け保護も行われており高温の燃焼ガス温度でも運転できるように対応がとられています。
    また、ガスタービンには法定点検が義務付けられており、点検中はその系統が発電できなくなる。川崎火力発電所では、そのダウンタイムを短くするため、予備のタービンが用意されており、メンテナンスのタイミングでタービンをローテーションされているとの事です。
    通常タービンはケーシングされているため、実物を見ることができないのですが、この見学会のときは交換されたタービンのメンテナンスが行われており、タービンの実物を見ることができました。
    川崎火力発電所では発電だけでなく、コンビナート地区へ蒸気による熱融通が行われています。これまでコンビナート地区の各社がボイラで蒸気を作成し原料の加工等に使用されていたのを、川崎火力発電所から供給される蒸気に置き換えることで、2018年度の1年間で約28,000kl(原油換算)の燃料と、約63,000tの二酸化炭素排出量の削減を達成されたとのことです。

見学風景 (ガスタービン及び発電機)
見学風景 (排熱回収ボイラ)
質疑風景
3.NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎

 (1)施設概要
    コミュニケーション・プラザ川崎は、NEXCO中日本の川崎管制センターに併設された企業PR施設で、NEXCO中日本の活動内容の紹介と川崎管制センターの見学が可能です。
    川崎管制センターでは、東名高速道路および第2東名高速道路の道路管制業務が行われています。

集合写真(NEXCO中日本コミュニケーション・プラザ川崎)

 (2)ガイド付き見学ツアー
    こちらでも2班に別れ、管制センターと高速道路の建設・管理業務の紹介施設の見学を行いました。

  ○ 管制センター
    東京都と愛知県を結ぶ東名高速及び第2東名高速の管制が行われています。
    管制センターでは、1km毎に設置された監視カメラからの情報や高速道路に埋め込まれたループコイルの情報により、「時間あたりの交通量」、「渋滞情報」、「事故や高速道路上の落下物等の異常情報」等が管制センター前面のパネルに表示されます。その情報を元にオペレーターが現地へ人を派遣や、高速道路上の電光掲示板への情報発信等がなされています。さらに、ラジオ用の中継ブースもあり、そこからの管制用のパネルを確認し、最新情報の発信もされています。また、管制センターには警察官の方も待機されており、事故などに備えておられました。
    たまたま見学中に高速道路上で実際に事故が起こり、オペレーターの方がその対応をとられる状況も見学することができました。

見学風景(管制センター)

管制センター

おわりに

 今回は、インフラに関わる施設等の監視・制御・運用を行っておられるところを選定し、見学会を企画しました。私自身も今回の見学会に参加したことで、気付きや新たな知見を得ることができ、有意義な見学会となりました。参加いただいた方々も、何か得ることがあったのであれば幸いです。
 最後に今回の見学会にご協力いただきました東京電力フュエル&パワー(現 株式会社JERA)及び、NEXCO中日本の関係者の皆様に感謝とお礼を申し上げます。

以 上

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活動報告(近畿)

音羽電機工業株式会社 雷テクノロジセンター

活動名音羽電機工業株式会社 雷テクノロジセンター
実施日平成30年(2018年)11月29日(木) 15:00~17:00
場所音羽電機工業株式会社 雷テクノロジセンター
  兵庫県尼崎市潮江5-6-20
参加者10名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事 大久保 精之
1.はじめに

 本年度の見学は、音羽電機工業雷テクノロジセンターを訪問しました。
 音羽電機工業様は、主に避雷器を製造販売されている会社です。その中で、雷テクノロジセンターは日本で唯一の雷試験専門の試験センターであり、2008年開所以来10年で約33,000人の見学者が訪れています。
 雷の持つエネルギーは約1億ボルトで10万アンペアあり、雷の被害はおよそ年間2,000億円から3,000億円とのことでした。航空機への直撃来も年間200回程度発生しており、航空機は落雷を前提に製造されているそうです。これらの避雷器に関する試験を行う試験場の雷テクノロジセンターを見学しました。

2.施設概要

 同センターでは、世界最大クラスの雷発生器を用いて雷対策製品の開発や試験を日々行っています。また、雷に関する多くの資料が展示されていました。
 見学会では実際に雷対策製品や雷の発生の仕組みなどを学び、雷を疑似体験することで雷の世界に触れることができます。また、雷の受託試験を受け付けておりおりロボットや航空機などの試験を行っていました。

3.見学内容

  ①まず専門のスタッフによって、雷の発生のしくみや見学の注意事項のレクチャーを受け、雷に関する説明やビデオを鑑賞します。
  ②雷ミュージアムにて、雷に関する製品や資料を閲覧しました。また、飛行機に直撃する雷の貴重な映像もご紹介いただきました。

雷の名前が付く神社や地名
避雷器の材料 (酸化亜鉛素子)
カミナリ記憶カード
雷トリップブレーカリセット器

  ③実験施設では、雷の試験設備と専門のスタッフによる雷の発生のしくみの説明を受け、実際に試験設備を使って雷を発生させ避雷器(SDP)の効果を見ることができました。
   避雷器(SPD)の寿命は、特になく性能限度内であれば繰り返し性能を維持するとのことで、試験場のテスト用避雷器は開所以来壊れることなく使い続けているとの事でした。
  ④そのた、関連会社による低圧・高圧用検電器の説明もして頂きました。

集合写真
4.おわりに

 この度は、身近な避雷器ですが普段体験できない落雷を疑似体験できたことは大変有意義な見学会と感じました。
 最後に、関係各所の皆様のご協力で無事に見学会を遂行することができました、厚くお礼申し上げます。

以 上

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活動報告(関東・甲信越)

「振動と計測 (計装) 機器」

活動名「振動と計測 (計装) 機器」
講師
田村 純 講師
  三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業部 部長
実施日平成30年(2018年)11月24日(火) 14:00~17:00
場所東京電業会館 3F会議室
  東京都港区元赤坂1-7-8
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 橋本 明洋
1.はじめに

 平成30年度 関東・甲信越地区の勉強会を、平成30年11月24日に東京電業会館にて実施いたしましたので、ご報告いたします。

2.講習会内容

  テーマ「振動と計測(計装)機器」
   次の5つのテーマに分け、講義が進められた。
   1 「振動とは」
    ・振動の表し方
    ・振動量の基本的なパラメータと単位
    ・各パラメータ間の関係

   2 「振動センサ」
    ・振動計測の基本
    ・振動センサの原理
    ・地震動の計測
    ・地震計の校正とトレーサビリティ

   3 「振動の計測と校正」
    ・(産業)計測の意味
    ・振動変移、速度量のトレーサビリティ
    ・振動加速度の国家標準
    ・管理精度と許容値の源

   4 「可搬型低周波校正装置」
    ・振動計校正装置開発の経緯
    ・加震部の概要
    ・校正装置内臓の標準振動センサ
    ・今後の課題

   5 「3.11と加震試験」
    ・計装機器と加震試験
    ・加震のシステム概要
    ・加震の種類
    ・スィープ(掃引)と変調波形加震
    ・共振の探査の重要性
    ・加震試験状況の動画

   計測対象となる「振動」の定義及びその表し方の解説から始まり、振動センサの解説、校正の目的・意義の解説、振動校正装置開発時の課題とその対策を解説いただいた。
   また、実際に行われた加震試験の状況を、動画を交え解説いただいた。

3.まとめ

 本講義では、開発された振動校正装置において、重要となる要素を順序よく段階を踏んで解説いただけたため、目的や課題が大変理解しやすく、参考になりました。また、その周辺技術や校正の考え方等の解説もあり、勉強にもなりました。
 講義のオマケとして、産総研で管理されているキログラム原器公開の動画を上映いただきました。タイムリーな話題とあって、興味深く拝見させていただきました。
 最後に、ご多用中にもかかわらず、講師としてご説明・解説をいただきました田村純講師には厚く御礼を申し上げるとともに、ご参加くださった皆様のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(四国)

① 四国乳業㈱ 本社工場  ② ㈱井関 松山製造所

活動名① 四国乳業㈱ 本社工場
② ㈱井関 松山製造所
実施日平成30年(2018年)11月15日(木) 8:00~18:30
場所① 四国乳業㈱ 本社工場
   愛媛県東温市南方1055-1
② ㈱井関 松山製造所
   愛媛県松山市馬木町700
参加者21名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 藤田 勝治
1.はじめに

 今回の見学コース検討にあたっては、現在、下町ロケットの新シリーズで脚光を浴びている農業機械の製造を見学しようと思い、愛媛県松山市にある (株)井関松山製造所の見学と隣接する東温市で製造から出荷までをコンピューターで集中制御している四国乳業(株)本社工場の見学を計画しました。

2.見学内容

 (1)四国乳業(株)本社工場

   四国乳業(株)は、生乳生産者団体を中心に、生産者自らが運営する工場として、昭和41年に設立された四国唯一の農協プラント系乳業メーカーです。品質管理を徹底するため、アメリカのNASAで考え出された衛生管理システムHACCP(ハセップ)を業界内ではトップを切って導入しています。また、本社工場では、1日約140トンの生乳を牛乳や乳製品に処理加工しています。
   まず、工場棟の会議室においてパワーポイントによる本社工場の概要説明があり、その後工場内の見学をさせて頂きました。
  2階面の見学通路から1階面にある製造ラインが見学できるようになっており、各種製品が各々のラインで製造され、次々に出荷口に出てきている様子を見学することができました。
   製品の殺菌、温度管理、容器詰め、出荷検査、設備の洗浄等、製造から出荷までの一連の作業を全てコンピューターで集中制御しており、徹底した品質・衛生管理と、効率化・省力化を実現していることがよくわかりました。
  また、牛乳の効果についても説明があり、ダイエットや精神安定、高血圧の予防、免疫力の向上等にも良いそうです。

概要説明     
牛乳のできるまで
集合写真

 (2) (株)井関松山製造所

   井関松山製造所は、トラクタ、芝刈機、耕運機、乾燥機、エンジン等を製造しており、工場内では、エンジン・トランスミッション等の主要部品の鋳造からプレス加工、塗装、組立を一貫して行っています。また、敷地内には、トレーニングセンターやトマトやパプリカの植物工場もありました。 
   まず、会議室で田坂社長よりパワーポイントによる概要説明があり、その後、工場内を見学させて頂きました。
  工場内では、主要部品の鋳造作業、コンピューター制御の最新鋭工作機械やプレス機、3次元レーザー加工機を使った機械加工作業、塗装・乾燥作業、エンジンや本体の組立作業等の一連の工程を案内して頂き、大変興味深く見学させて頂きました。
  内製比率は25%程度とのことでしたが、コア部分を内製化し、鋳造から機械加工、最終組立まで工場内で一貫して製造していることや、国内・海外向けの多品種少量生産を色々工夫して実現していることがよくわかりました。
  工場見学後のドリームギャラリーでは、ICT技術等を活用した最新鋭の農業機械の運転席に座ったり、懐かしい農業機械を見たりと、参加者一同、時間を忘れて楽しんでいました。

概要説明
集合写真
ICT機能搭載トラクタ
懐かしのトラクタ(S38年製)
おわりに

 お忙しい中、ご参加いただいた会員の皆様と見学案内していただきました四国乳業(株)本社工場ならびに(株)井関松山製造所の方々には深く感謝いたします。

以 上

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活動報告(東北・北海道)

「振動と計測 (計装) 機器」

活動名「振動と計測 (計装) 機器」
講師
田村 純 講師
三興コントロール株式会社 計測制御サービス事業部 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)11月14日(水) 13:30~16:30
場所ハーネル仙台 5F
宮城県仙台市青葉区本町2-12-7
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者東北・北海道地区担当幹事 大束 裕彦
1.はじめに

平成30年度東北・北海道地区の勉強会を、平成30年11月14日にハーネル仙台にて実施いたしましたので、ご報告申し上げます。

2.講習内容

テーマ:『振動と計測(計装)機器』

下記の5つのタイトルに分け、振動とは何か、振動をどのように計測するのか、計測することの意味は何
    か、計測の際の校正の重要性など、振動とその計測について専門的な説明をしていただきました。

    1. 振動とは
      ・振動と音の定義
      ・振動の表し方
      ・パラメータの意味
    2. 振動センサ
      ・振動計測の基本
      ・振動センサの原理
      ・各計測器の紹介と原理
    3. 振動の計測と校正
      ・産業における計測する意味
      ・校正方法の基本
      ・トレーサビリティの担保
      ・タービンの監視
    4. 可搬型低周波振動系校正装置
      ・校正、現場校正の重要性                 
      ・振動計校正装置開発の経緯
      ・低周波振動計校正装置を支える標準

田村 純 講師
3.まとめ

 本講義は、まず「計測」「精度」「校正」の定義、及びSI単位の定義を明確にすることから始まり、「トレー
 サビリティ」の重要性を身近な例を交えてわかりやすく解説していただきました。
 次に、振動測定の実例による説明に移っていったため、ひとつひとつの要素を理解しながら受講できました。
 実例として、計測機に振動を与えた様子や振動により計測器が壊れる様子を動画で説明していただき、振動が
 もたらす影響について大変勉強になりました。
 最後に、ご多用中にもかかわらず、講師としてご説明・解説をいただきました田村 純様には厚く御礼を申し
 上げるとともに、ご参加くださった皆様のご活躍をお祈り申し上げます。                                               

                 以  上

勉強会の様子
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活動報告(九州・沖縄)

『振動と計測 (計装) 機器』

活動名『振動と計測 (計装) 機器』
講師
三興コントロール株式会社
計測制御サービス事業部 校正技術部
部長 田村 純 講師
実施日平成30年(2018年)11月5日(月)14:00~17:00
場所㈱九電工 福岡支店 1F 多目的ホール
参加者26名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者九州・沖縄地区担当幹事 今吉 俊博

はじめに

 九州・沖縄地区では平成30年度の活動として、11月5日(水)に上記内容にて勉強会を開催致しました。 以下に概要の報告を致します。

田村講師 講演風景
講演内容

 テーマ 『振動と計測(計装)機器』

 1.振動とは
   1)振動とは
    ・振動とは、固体や液体が揺れ動く物理現象を意味しており、地盤や構造物に何ら かの力が作用したときなどに生じる周期的な位置変位の現象。
            ①人口振動 (機械起振) と自然振動 (地震動)
    ・振動 
            ②音 (音楽、騒音、爆発空振)
    ・騒音などの音圧は方向の無く、大きさのみのスカラー量。
     振動は大きさだけでなく方向も持つベクトル量。
    ・振動の性質もヘルツ (Hz)、デシベル (dB) で表す。
    ・Hzは振動する物体の1秒あたりの振動回数。dBは振動の大きさを表す単位で、 周 波数によって人に感じられ易さが異なるため、人の感覚に合わせ補正する必要がある。
    ・騒音の最小可聴値は0dB、人が感じる振動は55dBとされる。

   2)振動の表し方とパラメータ
    ・振動の振幅というと通常は変位を指す。変位の振幅と言うと片振幅Dとなるが、 実際の振動の世界では全振幅(Peak‐Peak)で表示することもある。
    ・微小振動を測定する場合、加速度センサがよく用いられるため、「振動の大きさ」は加速度(実行値)で表すことが多い。
    ・加速度の単位ではGal(ガル、cm/s²)が有名。
    ・振動とは、物体が一点を中心としてその前後左右、または上下への運動を繰り返す状態をいい、一般に「振動数F」「変位D」「速度V」「加速度A」を用いて表す。
     とくに「変位D」「速度V」「加速度A」の3要素が重要。
    ・変 位:振動の変位量を表し、その動きの大きさに直接関わる特性値を表す。回 転体のたわみ量、振れ量の評価に有効なパラメータで周波数には無関係。
        SI単位:m 実用単位:cm、μm、nm
    ・速 度:振動する速さは振動エネルギーの大きさを表し、機械の摩耗や、劣化の進展度合いに関わる特性値を表す。ISOの振動評価基準がある。
        SI単位:m/s 実用単位:cm/s、mm/s
    ・加速度:衝撃力の大きさに関わる特性値を表す、軸受け、ギアの傷、振動等の異常検出に有効な指標。
     唯一トレーサビリティの担保が可能な量。
        SI単位:m/s² 実用単位:cm/s²、Gal、G
    ・各パラメータ間の関係
                       微分  →    微分 → 
                変  位        速度        加速度
                       積分  ←    積分 ← 
  2.振動センサ
   1)振動計測の基本
    ・振動量の計測における測定者(あるいは測定装置)は、空間座標において動かない点(不動点)にいなければならない。
     このような不動点はばねとおもりか らなるサイズモ系で疑似的に作り出すことができる。

   2)振動センサの原理と種類

       
① 接触方式 ――――②加速度検出――③サーボ方式
                                   ④圧電方式(速度も)
                                   ⑤ストレージ方式
                                   ⑥MEMS方式
                       ⑦速度検出―――⑧導電方式

        ⑨ 非接触方式 ―――⑩変異検出―――⑪過電流方式
                                    ⑫静電容量方式
                                   ⑬光学方式(速度も)
    ・サーボ加速度計
     加速度により生じた振子の変位を電気信号として取り出し、アンプで増幅した うえでトルカ部のコイルに流すことにより振子を元の位置に戻し保持続ける。
     このコイルに流した電流は加速度に比例することを利用するセンサ。非常に高精度高安定、計測範囲はDC~数百Hz。

    ・圧電センサ
     センサ内部に錘とケースに挟まれた圧電素子が加速度により伸び縮みしたときに出力した電荷を利用し加速度を測定するセンサ。小型化できる。カタログ仕様はDC~となっているが、実際はその構造から100Hz程度から計測が信頼できる。

    ・動電センサ
     直線振子タイプは慣性おもりを共用したコイルをダイヤフラムバネやコイルバネで支持し、マグネットとの間で直線往復運動を行わせ電圧出力させるセンサ。
     高感度で直線範囲が広いので回転機械設備の劣化の検出に適している。構造上、取り付け方向、取り付け角度に制限がある。

    ・渦電流センサ
     センサコイルより高周波磁束を発生させ、金属表面に渦電流を発生させ、その 大きさが距離により変化することを利用したセンサ。

    ・静電容量式センサ
     センサと測定対象物によって形成される平行コンデンサの静電容量からギャッ プ(変位)を測定するセンサ。

    ・レーザードップラー振動計
     センサヘッドからレーザ光を振動物体に照射し、振動物体から反射したレーザ 光の周波数変化を測定するセンサ。

   3)ハンディ型振動計の特徴
    ・設置方法
      ① ネジ固定    ②瞬間接着    ③両面テープ    ④絶縁アタッチメント
      ⑤マグネットアタッチメント       ⑥棒状アタッチメント
    ・絶縁されていないものでモーターなどの測定は注意が必要。漏れ電流でセンサが壊れることも。

   4)地震計
    ・サーボ速度型地震計。
    ・落球式地震計。
    ・現在の地震計はSI系のトレーサビリティが担保されていない。

  3.振動の計測と校正
   1)振動量のトレーサビリティ
    ・校正対象機器のことをDUTと記述する。
    ・一般的に振動の大きさをdBで表示することが多い。
    ・dBは人の振動公害に関する測定などに用いられ、人間の感じ方を考慮して帯域制限フィルタで周波数フィルタをかけている。
    ・広く世間で行われている振動試験は相対量であるdBを使用しているため、トレーサビリティは確保されていない。
    ・振動のトレーサビリティの担保は振動加速度(m/s²)のみで、dB量を絶対量である振動加速度量に変換する必要がある。
    ・振動加速度の国家標準 ⇒ 光計測機器を使用
    ・振動加速度の標準供給 ⇒ 1次校正された振動計にBack to Backで2次校正する。
    ・従来はdB管理による基準検査制度が主体で曖昧な対応。強度振動系では振動加速度量のみトレーサビリティが担保されている。
    ・低周波領域(4~200Hz)の水平姿勢による標準値の供給をNWIJから受けているいるのは国内で三興コントロール株式会社のみ。
    ・現在はNMIJの低周波直流標準から4~10Hzの交流電圧標準の供給を受けている。
      (過去はDAkksからの供給を受けた)
    ・周波数標準はJEMICから供給を受けている。

   2)トレーサビリティの担保
      ① 標準値のトレーサビリティ
        ⇒計測機器(モノ)のトレースではない
      ② 人の計測・校正技術の連鎖
        ⇒人の技量の連鎖も重要
      ③ 現場の計測手段とのつながりを明確にすること
      ④ 振動レベル(dB)ではトレーサビリティが取れない
      ⑤ 現状、国内では低周波振動の校正で5~10Hz領域は曖昧
         またその「姿勢」も問題にされていない。
    ・どの様なセンサ・計測機器、校正機器でも使用目的とする数値に関係するデータは必ず標準にトレースする必要がある。
    ・振動量変換センサとして3つの標準が必要
      ①振動加速度量 ②信号の大きさ(交流電圧) ③信号の周波数
    ・交流電圧標準に対する要望として 10Hz以下の低周波域で交流電圧計の校正ニーズがある。
    ・代表的標準研究機関においても交直変換方式において10Hz以下の校正能力はない。

   3)TSI(タービン監視計器)
    ・タービン運転時、軸が伸び、振動が発生する
    ・変位=長さの量で管理
    ・3種類の監視計測機器
      ① 振 動 計 :回転体のバランス監視(動的ラジアル変位)
                ⇒ 2軸(垂直、水平)の振動 +α
      ② 伸 び 計 :回転体の熱による伸びを監視
      ③ 伸び差計:回転体の相対位置の監視(静的スラスト変位)
    ・回転体は望ましい動作をしているかどうかを監視する必要がある。
     その為に、 「振動速度」や「振動変位量」を計測する

  4.可搬型振動校正装置
   1)校正の重要性
    ・現在の品質管理の潮流は「試験、検査」から「校正」へ
    ・その為に「トレーサビリティの担保」は必須
    ・電力関係の規格・基準では「校正」が明記されている
    ・現場のセンサの校正は「On-site」「In-situ」が理想
    ・検査・試験は校正が源

   2)計測値の信頼性
    ・標準振動発生装置を可搬型にすれば振動情報のループ(系)としての信頼性の確認が可能。
    ・電力会社によっては、ループ(系)としての信頼性の確認をしていない会社もある。
     つまり振動計の単体校正のみで、系としての信頼性確認の考えを持ってい ない。

   3)ループ校正の考察
    ・現状はルート2乗法を採用し、“カタヨリ”のみの情報で計算している
    ・観測データの“バラツキ”情報は考慮していない
    ・本来の「ガウスの誤差の伝播則(ルート2乗法)」は観測データの“バラツキ” が主たる要素
    ・本当のループ校正では”バラツキ“と”カタヨリ“の検討が必要

   4)振動計校正装置開発の経緯
    ・校正用ではなく試験・検査用の認識が強い
    ・低周波領域(5~10Hz)の加振、振動は無評価!
    ・トレーサビリティには興味?無し
    ・インフラ分野(電力、ガス、上下水道)に余り興味なし
    ・設置環境の床振動(暗振動)対策には無頓着!
    ・市販の振動計試験・検査装置の特徴
      ① 低周波(5~10Hz)領域において性能不足
      ② 一部の領域において直線性無し
      ③ トレーサビリティの担保は?
      ④ 「校正」に関しての認識不足
      ⑤現場向きでなく、取り扱いが面倒臭い
       ・可搬装置としての大きさ
       ・設置場所での外乱(気温、暗振動)対策
      ⑥負荷質量(DUT)の対応不足
       ・現場型は防爆仕様で重い(~800g

   5)振動計校正装置開発の採った対策
    ・加  振  部  :冷却ファンが使えない、ネオジウム永久磁石の採用
    ・標 準 振 動 計:信頼性の高いサーボ加速度計を内蔵
    ・計 測 制 御 部:デジタル回路を採用し、信頼性の向上を図った
    ・外 乱 対 策:共振周波数、グランドノイズ(暗振動)対策で特殊 防振ゴムを採用
    ・冷却ファンの除去:振動発生源となる為
    ・軽量化を図る :労働安全規則の存在

   6)開発モデ
    ・HVC-100:水平加振と垂直加振兼用モデル
    ・HVC-200:垂直加振専用モデル
    ・HVC-300:水平加振専用モデル

   7)本装置の優位性
    ・最小の構成による校正装置(2ユニット)
     標準器も内蔵している(Back to Back方式)
    ・低周波(5~10Hz)領域で振動加速度のトレーサビリティを担保している国内では唯一の校正装置
    ・多種多様の大型回転系の振動計に対応可能
    ・非接触型の変位計の校正も可能な構造
    ・国内優先特許確立

   8)課題と今後の展望
    ・校正範囲を1~4Hzと200~2000Hzに拡張
    ・社内での受託校正時の基礎(大地)振動の低減
    ・需要があれば0.01~1Hz間での加振装置の開発?
    ・弊社のお客様の制御用・計測用「地震計」の管理値と要求仕様の調査と、目標 とする仕様の決定

  5. 3.11と加振試験
   1)背景
    ・3.11の地震後、BWR原発は水素ガス発生時の対策から新システムの発生水素ガスベント(排気)システム関係の計装機器、電気機器の振動試験を、3.11を考慮した形で行う必要が出てきた。

   2)鉛直加振動電式振動試験装置
    ・磁界の中で電気伝導体(コイル)に電流を流し、振動する力を発生さる。コイル に発生した力は伝達する可動部や治具に供試品を搭載・固定して振動させる。

   3)治具
    ・冶具は剛性を持たせ、冶具の共振振動数を加振する振動数範囲より高い振動数にする必要がある。
    ・共振振動数を上げるのには、小型化、軽量化、強度と剛性の確保が必要。
    ・軽量化の為にはアルミ製に冶具が適している、一般的には板厚15mm以上が望ましい。
     ⇒加工が削り出しのみに限られ難あり
    ・DUTが現場でどう取り付けられているか?どう振動を受けるかを考慮し、DUTの重心を考慮し設計加工する必要がある。
    ・鉄製を採用。但し、溶接に伴い磁気を帯びるため脱磁処理を行った。

   4)共振探査の重要性
    ・固有振動数を求めることは機械設計を行う上で非常に重要。共振は機械の性能を損ない破損の原因につながります。従って機械は運転範囲において共振が発生しないように設計する。

   5)加振試験
    ・加振方向:水平2方向と垂直方向の同時加振
    ・加振試験の手順
      ① 加振前の校正(健全性確認)、他の性能試験
      ② 3軸での掃引加振で共振周波数の探査
      ③ もし共振点が存在しなければ客先指定周波数で加振
      ④ 3.11では指定周波数(3.11想定の5倍以上の30G)にて限界加速度で加振する
    ・加振試験の仕様例
      ① 外観確認  :いわゆる外観の目視
      ② 動作機能試験:校正と試験が主体
      ③ 指示精度試験:指示機能があるものについて
      ④ 警報遅れ試験:2値動作機能を持つ機器について
      ⑤ 絶縁抵抗試験:電気、電子回路の健全性確認
      ⑥ 耐電圧試験 :電気、電子回路の健全性確認
      ⑦ 共振検索試験:固有振動数の有無
      ⑧ 耐加速度(限界)試験A ⇒ 指定加速度、周波数
      ⑨ 耐加速度(限界)試験B ⇒ 指定加速度、周波数

   6)その他
    ・フィールドサービス対応機器の紹介
    ・ストップウォッチの校正の紹介
    ・2019年5月21日にSI単位の定義改訂のお知らせ

所 感

 今回の勉強会では、振動と計測(計装)機器という題目のもと、振動センサに関する基礎知識、トレーサビリティの問題点と振動に関する実務の紹介などの項目をこの分野のエキスパートである講師の方が深く掘り下げてご説明頂きました。難しい内容を素人にも分かるよう丁寧に、また易しい表現でご説明頂き、とても興味深く耳を傾けていました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師をお引き受けいただきました田村講師に厚くお礼申し上げるとともに、今後とも益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(中部・北陸)

① 北陸電機製造株式会社 ② 発紘電機株式会社

活動名① 北陸電機製造株式会社 
② 発紘電機株式会社
実施日平成30年(2018年)10月5日(金) 9:00~17:00
場所① 北陸電機製造株式会社 
  富山県滑川市法花寺233
② 発紘電機株式会社
  石川県白山市上柏野町238
参加者14名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区担当幹事 柏原 達司
1.はじめに

 平成30年度「中部・北陸地区」の活動として10月5日に上記2施設を見学いたしました。
 今回は、今までの中部地区(名古屋)を中心とした「中部・北陸地区」としての活動から、初めての北陸地区における活動であり、募集の段階より無事に実施出来るのか等のかなりの不安要素をもってのスタートでありました。
 「中部・北陸地区」とはいっても、現在の北陸地区(富山)へは北陸新幹線が開通しており、名古屋から特急(在来線特急)を利用した場合には3時間30分(一部新幹線利用にて3時間、但し2回乗換)かかりますが、東京からは新幹線直行便を利用した場合は最短2時間30分程で行くことが出来ます。正に現在の北陸地区は関東圏と言われる所以であります。
  そのような状況で、前述しましたように今まで「中部・北陸地区」とは名ばかりで、中部地区での開催ばかりの状況を打破すべく、今回の北陸地区での実施を計画した次第です。

2.見学報告

 (1) 北陸電機株式会社
      本社工場見学

   パンフレットに「立山連峰を仰ぐ、ほたるいかのふるさと富山県滑川市が北陸電機製造株式会社の事業拠点です」とありました。
   すばらしい自然環境の中に拠点を構える「変圧器」、「モールド及びIHインバータ関連機器」等の製造会社です。

 1)施設概要
   営業品目
   ・中小型変圧器   ・モールド機器   ・取引計器用変圧変流器(MOF)
   ・大型変圧器     ・配電盤   ・障害波防止用機器   ・環境関連事業
   ・IHインバータ関連機器

 2)見学内容
   会社沿革、北陸電力株式会社や富士電機株式会社等の主要取引先等の概要の説明後、中小型変圧器、柱上変圧器製造工程、大型変圧器製造工程等を2班に分かれて見学しました。

 (2) 発紘電機株式会社
      本社工場見学

   世界初のプログラマブル表示器
   MONITOUCHを開発したとの説明には驚かされました。
   世界各国にも出荷し、またプリント基板から自社製造し常に下位互換を維持しつつ新しい製品を開発する会社です。

 1)施設概要
   ・HMI(MONITOUCH)製品設計
   ・製造
   ・FA(機械)設計・組立
   ・プリント基板製造

 2)見学内容
   プリント基板製造エリア/HMI製品製造エリア/制御盤組立てエリア

 3)講演
   インバータによるファン・ポンプの省エネ手法

3.アンケートについて

 今回の見学会についてアンケートをとりました。概ね「面白かった」、「理解出来た」、「見学会の内容は仕事に役立ちそう」との集約が出来ました。時間についても「ちょうど良い」、また今後についても「また参加したい」との結果が出ました。
 アンケートに合わせ、(一社)日本計装工業会にて主催、計装士会共催にて次年度実施に向け計画が進められています「黒部第四ダム見学会」について皆さんの意見を聞くことも出来ました。

   ・黒部ダム見学は、非常に楽しみにしています。
   ・黒四ダムの件、興味はあるので、時間が合えば参加したい。
   ・黒四ダム見学会、特別に設定されたルートと聞いて大変興味があります。
   以上のように、地理的な状況における集合場所、また実施時間等の問題もありますが半数を超える方々の実施に期待を込めた意見でした。

4.おわりに

 見学会を終え、帰途の特急電車の中では地区幹事同士、楽しい一時を過ごすことが出来ました。しかし、大変なのはこれからです。今回の見学会を、より充実し定期に実施出来るよう、今後どのように計画していくのか大きな懸案事項です。一層の計装士会の活性化に向け更なる努力が必要との思いであります。
 最後になりますが、お世話になりました「北陸電機製造株式会社」、「発紘電機株式会社」の皆さん、準備等にご尽力いただきました「富士電機テクニカ株式会社」様、有難うございました。
 見学会に参加いただきました「アズビル(株)ビルシステムカンパニー」、「三機工業(株)」、「ジョンソンコントロールズ(株)」、「ダイダン(株)」、「太平電業(株)」、「高砂熱学工業(株)」、「(株)中部プラントサービス」の皆さん、並びに各社の担当としてご尽力いただきました皆様には、お世話になりました。また北陸地区に出先をお持ちの関東地区在京各社の計装士会窓口の皆様有難うございました。
 これからの計装士会のより一層の発展に向け、各社更に力を合わせ取り組んで生きたいとの願いを込め、今回の見学会の纏めとする次第です。有難うございました。

以 上

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活動報告(東北・北海道)

国内最大規模で、発電効率も国内トップの 「石炭とバイオマスの混焼による発電設備」の見学

活動名国内最大規模で、発電効率も国内トップの
「石炭とバイオマスの混焼による発電設備」の見学
実施日平成30年(2018年)9月27日(木) 13:00~17:00
場所日本製紙エネルギーセンター株式会社 石巻雲雀野発電所
 宮城県石巻市雲雀野町2-15-4
参加者26名(内計装士会7名)
主催(一般社団法人)電気設備学会東北支部
協賛(一般社団法人)日本電設工業協会東北支部
(公益社団法人)日本技術士会東北本部電気電子部会
計装士会
報告者東北・北海道地区担当幹事
小川 克郎
1.はじめに

 今回の見学会は、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のご厚意により一般社団法人電気設備学会東北支部主催、一般社団法人日本電設工業協会東北支部、公益社団法人日本技術士会東北本部電気電子部会及び計装士会の共催で実施しました。
 見学した施設、日本製紙石巻エネルギーセンター(株)石巻雲雀野発電所は、平成30年3月に操業を開始したばかりで、2011年の東日本大震災により大きな被害を受けた石巻地域の産業振興及び雇用創出のため設立されました。
 また、環境の面と電力安定供給の面から石炭とバイオマスの混焼による発電設備とし、バイオマス混焼発電所としては国内最大規模で、発電効率も国内トップの42%を実現しています。
 見学の内容を、下記に報告いたします。

2.見学内容

 1)発電設備の概要について

  発電設備の概要および特徴を当エネルギーセンター
 担当者様よりご説明頂きました。
  当発電所の最大発電能力は14.9万kwで、バイオ
 マスによる高い発電効率を実現するため、石炭、接着
 剤なしの木質ペレット及び未利用材(間伐材)を使用
 し、環境・コスト面の負荷を低減しています。
  具体的な燃料の使用量は、石炭を1,000t/日、
 木質ペレットを500t/日未利用材を50t/日使
 用し、熱量比で最大30%のバイオマス混焼を実現し
 ています。 立地は石巻市の臨海工業地域に位置し港に
 直結しているため、燃料は 海路より直接発電所内の未
 利用材及び石炭ヤードに搬入されます。
  また、木質ペレットは発電所に近接した場所に、
 2万トンの保管倉庫を設けています。

中央操作室の様子

  

 2)燃料搬送設備

  燃料となる未利用材・石炭用と木質ペレット用、2
 系統の搬送設備でボイラーの燃料貯槽に運ばれ、どち
 らか 1系統に異常が発生した場合でも安定的に発電で
 きるよ うにしています。
  また、搬送設備のコンベアーは回転軸を持たない空
 気浮上式となっており、安全と防災に万全を尽くして
 います。

燃料搬送設備

 3)石炭ミルとバイオマス

  燃料を高温で効率よく燃焼させるため未利用材・石
 炭用3機と木質ペレット用1機の2種類の専用ミルに
 より、 ミクロン単位まで燃料を粉砕することで国内最
 大の混焼比率(熱量比30%)を実現しています。

 4)微粉炭バーナとバイオマスバーナ

  バーナーは、燃料と空気を適量混合して効率よく燃
 焼させるため、未利用材石炭用と木質ペレット用の2
 種類を設置しています。

石炭ミルとバイオマス

 5)灰(ばいじん)の再利用

  燃料となる石炭・木質バイオマスの燃焼により生じる灰(クリンカアッシュ)及び電気集塵機で捕集された灰
 (フライアッシュ)は一旦場内に貯蔵され、セメントの原料として有効利用されます。

3.終わりに

 今回の見学会で、ご協力頂きました日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社様に感謝すると共に、お忙しい中、施設のご説明及び見学のご案内をして頂きました社員の方々にはこころより御礼申し上げます。
 見学会の感想として、雲雀野発電所と隣接する日本製紙石巻工場との間で、法令により発電所との電力連系及び排熱利用が出来ないとの説明が有りました。
 また、木質ペレットも接着剤を使用しないものとするため、海外より輸入しているとのことでした。
 トータル的な経済性・利便性及び安全性を考慮し、法令が足かせとならない柔軟な対応が出来れば より良い施設が出来ると強く感じました。                               

以上

石巻雲雀野発電所にて(参加者一同)