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活動報告(近畿)

「振動と計測(計装)機器」

活動名「振動と計測(計装)機器」

講 師
三興コントロール㈱
計測制御サービス事業部
校正技術部 部長 田村 純 講師
実施日平成30年(2018年)8月9日(木)14:00~17:00
場所TKPガーデンシティー 大阪梅田
 大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル
参加者17名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二

 平成30年度近畿地区上期活動として、上記勉強会を実施しました。
 「振動とは?」から始まり、振動センサ、計測と校正、校正装置、さらに3.11と加振試験にいたるまで、豊富な資料をもとにご説明いただきました。

講義内容

 1.振動とは
   振動の発生と現象/騒音と振動/振動の表し方/振動の基本単位/振動量の大きさ(振幅)/振動の大きさの表し方/振動パラメータの意味/振動の基本的なパラメータ/振幅の表し方/各パラメータと感覚/各パラメータの関係/分析結果の差
 2.振動センサ
   振動計測の基本/振動センサの原理/サーボ加速度計/圧電センサ/動電センサ/過電流 センサ/静電容量
   式センサ/レーザードップラー振動計/地震動の計測/地震計の例/ 地震計の校正とトレーサビリティ/ハンディ型振動計の特徴
 3.振動の計測と校正
   振動の計測/(工業)計測の意味/校正は特性評価の条件/校正で被校正計器のこと/ dB(デシベル)/振動量のトレーサビリティ/振動変位、速度量のトレーサビリティ/振動加速度の国家標準/振動加速度の標準供給/振動加速度の校正方法/振動加速度の トレーサビリティ/弊社の標準振動加速度校正システム/弊社標準器の校正結果/トレーサビリティの担保/管理精度と許容値の源/ AIST/NMIJの研究課題になりました
   (低周波交流電圧標準の開発)/交流電圧標準に対応する国内の要望/代表的標準研究機関の校正能力
 4.TSI(タービン監視計器)
 5.開発した可搬型振動計校正装置
   校正の重要性/検査・試験は校正がベース/計測値の信頼性/ループ校正と管理精度(許容値)/ループ校正の考察/振動計校正装置開発の経緯/DUTの管理精度 vs校正精度/市販の可搬型?振動計試験、検査装置の例/加振部の概要/3種類の加振部/計測制御部の顔/校正の情報/校正装置内蔵の標準振動センサ/本装置の優位性/低周波振動計校正装置を支える標準/反省とこれから
 6.伸び&伸び差計校正装置
   伸び計と伸び差計の使用目的/長さ(静的変位)の標準/伸び計校正装置/ 伸び差計校正装置/非接触変位
   計校正装置/その他の振動系付帯校正装置/ 開発した可搬型振動系校正装置のカタログ
 7.3.11と加振試験
   計装機器と加振試験/加振システムの概要/水平加振装置の構成機器/加振システムの実際振動発生の原理と構造/加振力の算出/加振試験の基本/加振の種類/スィープ(掃引)と変調波形加振・重要な事!/記録計用の冶具/取り付け冶具の共振探査も重要/冶具に取り付けた記録計/冶具に取り付けた液体膨張式温度計/共振の探査の重要性/共振現象/共振周波数は・オクターブ/地震動の波形/合成加振波形/唸り波形加振/加振の方向/加振の方向とその大きさ/振動加速度、galと重力加速度/計装機器と加振試験/加振試験のRS/加振試験項目と手順/振動試験の仕様例/振動試験の主な仕様/加振試験の実体イラスト/DUTと加振方向(X,Y,Z軸)/掃引試験の結果画面/実際の掃引試験結果の画面/健全性試験
 8.宣伝とおまけ
   開発した校正機器群/新たな受託校正システム/SI単位が変わります(2018.11)

田村講師
聴講風景
聴講風景
所 感

 大阪では6月18日7:58の大阪府北部地震を体感した直後でもあるので、関心度は高かった様に思います。全体で約3時間に及び、内容的にもかなり難しかったようにも感じましたが時間を感じさせない有益な勉強会となりました。
 計装士会としても、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、見学会等を企画、開催していきたいと思います。
 最後になりましたが、今回の勉強会にご尽力いただきました田村講師、(一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝と御礼を申し上げます。

以 上

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コラム

見学会に参加しよう

株式会社きんでん

情報通信本部 奥住 俊明

私は2007年から昨年4月に退任するまでの約10年間、計装士会の幹事を担当してきました。
 計装士会の歴史は1997年からなので、私はおよそその半分の期間お世話になったことになります。本会報の第42号2018年3月の特集に、歴代幹事来歴が掲載されていて、先輩方の名前や、一緒に活動していた幹事の方々の名前を拝見し、当時を懐かしく思い出した次第です。
 計装士会の活動は、大きく2つあります。本報「計装コミュニケーション」を編集・発行したり、ホームページを管理・運営したりする広報活動と、研修会・勉強会や見学会を企画・運営する企画・研修活動です。
私は一貫して企画・研修活動に従事してきました。昔話となりますが、見学会の企画・運営活動についてご紹介したいと思います。

 みなさんご存知の通り、日本計装工業会は計装工事業を営む法人と個人の集まりで、国土交通省の許可団体である一般社団法人ですが、計装士会は計装士の資格を持つ個人の任意の集まりです。(社団法人でも財団法人でもNPOでもありません、将来この議論も必要かもしれませんね)加入したい人だけが入会して作った任意の団体なんです。
 計装士会のその目的は、「計装士の交流の場として知識の交換と友好を深め、もって計装技術の発展と社会的地位の向上に寄与すること」とあります。

 JAXA 筑波宇宙センター

 昨年度の計装士会会員数は、全国で2,396名です。計装士の数は、日本計装工業会発表では1級と2級を合わせた総合格者数の累計が32,000人を超えているそうです。そのうち1級と2級両方合格された方やすでに資格失効された方もおられるので、計装士会への入会率は1割程度ということになるでしょうか。ちょっと低い入会率です。計装士会にとって、会員を増やす、入会率を上げることがとても大きな命題で、そのために会報の充実や研修会・見学会を充実させていくことが求められています。
年会費は3,000円ですが、会員の方々に会費を払っても値打ちがあった、満足できたと言ってもらえるように、企画・研修を担っていた私たちも知恵を絞ってきたわけです。

  計装士会の会員には、石油化学や発電のプラントが専門の工場計装技術者と、建物や箱もの工場の中央監視や空調自動制御が専門のビル計装技術者がいます。どちらの会員にも意味のある、興味がわく見学先が求められますので見学先の選定は重要な仕事になります。

 実際の見学会の企画・運営は、以下のような手順で行っていました。
  ①見学先のリストアップ、絞り込み、決定
  ②見学先・関係者との交渉、調整、条件確認
  ③案内文作成、見学者の募集
  ④段取り、役割分担決定、関係者への周知
  ⑤見学報告書の作成(見学終了後、会報掲載用)
  これを企画・研修委員会で議論し、決定し、実施していきます。
  私が企画・運営に携わった見学会のうち、代表的なものを紹介します。

・住友化学(株)千葉工場

日本の計装業界と計装技術は、国内の石油精製・石油化学産業の発展とともに拡大、進化してきました。今回は計装のルーツを知る見学会です。ここでは石油化学製品の原材料になるエチレンの製造プラントを見学、その分解炉の運転開始は1967年で、見学者の中に当時建設に携わった方がおられ、現場案内役の方と苦労話に花が咲いていました。
 最新の監視制御システムが、整然と並ぶコントロールルームも見学しました。
 現在では情報漏洩やテロ対策などもあり、なかなか見学は難しくなっていると思います。

・関西電力(株)大飯原子力発電所、原子力研修センター

  東日本大震災の5か月前に開催。発電所内はバス車窓からの見学でしたが、研修センターでは実物とまったく同じ原子炉の模型があり、担当者の方にかなり詳しく説明いただき、非常に勉強になりました。社員の方も実際にそれを使って研修をされているそうです。
 震災前の原発は、日本の電力エネルギーのベースロードをしっかりと支え、地球温暖化対策にも大きく貢献していました。福島第一原発の事故で、原子力事業への信頼も大きく揺らぎましたが、今後どうしていくのか国民の議論が進んでいく中で、この見学会は大変有意義なものになったと思っています。

模擬制御盤
原子炉内模型

・住友金属工業(株)鹿島製鉄所

 現新日鐵住金(株)、2基の溶鉱炉を持つ製鉄所。この工場では自動車・家電向けの薄板鋼板を製造しており、その全長800mにもおよぶ圧延ラインを見学。赤く焼けた分厚い鉄の板が多くのローラーを通過するごとに薄く延ばされ、最後ドラム状に巻き取られていく工程はものすごいスケールで圧巻。(ターミネーターが出て来そう)鉄は産業の米、鉄は国家なりと言われ、鉄鋼業は基幹産業として、日本の高度成長期を長らく支えてきました。日の丸製鉄、頑張れ、負けるな!ですね。最も評価の高かった見学先の一つでした。

・日本環境安全事業(株)(JESCO) 大阪事業所、東京事業所

現在は中間貯蔵・環境安全事業(株)。当時PCBは大きな環境汚染問題であり、処理施設の建設が急がれていました。PCBは1960年代に有害物質であることが分かりました。無害化技術が確立するまで長らく時間がかかりました。完成したPCB廃棄物処理施設は、国民に適切な処理を啓蒙する役割も担っていたため、積極的に見学を受け入れていました。我々、電気・計装技術者にとって、PCB無害化処理のことを深く知ることができて非常に有意義でした。

・国土交通省首都圏外郭放水路

 埼玉県春日部市の中川・綾瀬川流域の浸水被害の総合治水対策施設。
 地下に巨大な貯水空間と放水路を作り、水害を防ぐ。その地下空間の大きさは巨大神殿のよう、排水ポンプ駆動用の動力は14,000馬力の航空機用エンジン。

首都圏外郭放水路

・ANA機体メンテナンスセンター

飛行機の整備場の見学で、この見学会もやはり人気がありました。同時に5機を整備できる格納庫に、約900人の整備士の方が働いており、そのスケールは圧巻でした。一番感心したのは安全に対する考え方で、工具の管理の仕方一つとっても徹底しており、非常に参考になりました

ANA整備工場

計装士会は全国を①東北・北海道、②関東・甲信越、③中部・北陸、④近畿、⑤中国、⑥四国、⑦九州・沖縄、の7つの地区に分かれて活動しています。
 それぞれの地区で見学会と研修会または勉強会を、それぞれ年1回ずつ行っています。
 いままでに、火力発電所、地熱発電所、自動車組立工場、新聞印刷工場、医薬品製造工場、電気メーカー製造工場、ビール工場、食品工場、紙幣印刷工場、航空自衛隊基地、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)など、様々な見学会を実施してきました。

見学会はやはり大きくて見栄えがするものが人気なので、自動車工場や発電所などの重厚長大産業が人気でした。日本の基幹産業は、昭和の終わりごろ重厚長大から軽薄短小(液晶パネル、半導体、携帯電話など)に移行しました。このころまでは、日本の産業レベルは世界トップレベルでした。Japan as No.1ですね。
計装業界もその一翼を担っていたと思います。
 現在は、情報と知識の時代と言われています。ビッグデータ、超高速低遅延(5G,IoT)、サイバー(インターネット)環境、知識の集積・人工知能(AI)、これらキーワードが示す情報と知恵の時代、さしずめ「多速仮知」なんていう4文字熟語で表せるかもしれません。計装士活躍のフィールドも、どんどんそちらにシフトしてきているはずなので、見学先もそれに合わせて変えていく必要があるでしょう。例えば、大規模データセンタ、スマートコミュニティ、コールセンタ、最新物流施設、最新競技場、バイオ関連、植物工場など、どうでしょうか。
 勉強会や研修会のテーマも同じことが言えますね。今後の企画・研修委員の方々に期待しましょう。

仕事といいながら、遊びの要素大じゃないの?という声が聞こえてきそうですが、見学会に参加することによって、見聞を広めることができ、発見や気付きがあり、驚きや感動があり、アイデアが浮かび、明日への活力、モチベーションにつながっていくと私は思います。自戒も含めてですが、どうも技術屋さんは了見が狭いというか、視野が狭いところがありますよね。
 ぜひみなさんも計装士会のホームページで見学会の予定を調べて、周りの仲間を誘って、参加してみてください。
 最後になりますが、計装士会の益々の発展をお祈りいたします。

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活動報告(中部・北陸)

「振動と計測(計装)機器」

活動名「振動と計測(計装)機器」

講師
三興コントロール株式会社
  計測制御サービス事業部 校正技術部
  部長 田村 純 様
実施日平成30年(2018年)7月30日(月)13:30~17:00
場所ウインクあいち
名古屋市中村区名駅4-4-38   
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区幹事 柏原 達司
講演内容

  1.振動とは
  2.振動センサ
  3.振動の計測と校正
  4.可搬型低周波振動計校正装置
  5.3.11と加振試験

アンケート結果

 多くの受講者が、勉強会について「面白かった」、また内容の理解度については「理解出来た」との回答をしています。また公演時間については、「ちょうど良い」、勉強会については「また参加したい」との回答が殆どでした。
  今回の勉強会で興味のあったことにつきましては、あまり関わりの多くない「振動」について、意識喚起になったとの意見がありました。特に加振試験について、PPTではなく動画にて解説していただいた部分についての感想が多く有りました。

田村 講師
勉強会の様子
所 感

 今回は、「計測」の中でも比較的に馴染みの薄い「振動」という分野でありましたが、「振動」と「音」、特に「騒音」との身近な関わりから解説に入り、参加者は皆熱心に聴講していました。
 皆を飽きさせない田村講師の解説によるところも大きいと思われます。馴染みの薄い計器とはいえ振動センサの種類の多さには驚かされました。また構造、及び原理について解説していただき知識の補足に繋がったと思います。
  トレーサビリティをいかに担保するのか、また振動加速度、及び計器の校正について、更に3.11の地震を考慮した計装機器の加振試験については、計装計器にそこまでの性能が要求されるのかと、認識を新たにしたところです。大変に貴重な講義でありました。
  補足的に解説していただきました「単位」につきまして、100年以上にわたり使われてきた「国際キログラム原器」による「キログラム」の定義をはじめ、「アンペア」、「ケルビン」、そして「モル」について物理定数を用いて再定義される国際単位系(SI)の改定についても、身近な内容であり反応が大きかったように思われます。
 最後になりましたが、お忙しい中、講義をして頂きました田村純様には、今後の更なるご活躍を祈念し、改めまして御礼を申し上げます。有難う御座いました。 

以 上

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活動報告(中国)

『振動と計測(計装)機器』

活動名『振動と計測(計装)機器』
講師
田村 純 講師
  三興コントロール㈱
  計測制御サービス事業部 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)7月19日(木)14:00~17:00
場所㈱中電工 本店平和大通りビル 11階会議室
  広島県広島市中区小網町6-12
参加者25名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 久城 啓史
概 要(項目)

 【内 容】
     ① 振動とセンサ
     ② 振動の計測と校正
     ③ 振動計と加振試験
     ④ タービンの監視
     ⑤ 振動試験の仕様
     ⑥ SI単位の改訂

   標記の講義内容に対して、アンケート結果(回答24名)
   (1)勉強会の内容について
     ①とても面白かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16名
     ②面白かった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8名
     ③面白くなかった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名
   (2)計装業務に対する意欲について
     ①元気が出てきた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10名
     ②少し元気が出た ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13名
     ③あまり変わらなかった ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
   (3)勉強会の内容が役立ちそうですか
     ①役に立つ  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15名
     ②少しは役に立つ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9名
     ③あまり役に立たない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名
   (4)一番興味があった件は
     ①振動の発生と現象‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 5名
     ②振動の計測と校正‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 4名
     ③SI単位の改訂‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・・・・・ 3名
     ④トレーサビリティの担保 ‥‥‥‥・・・・・・・ 3名
     ⑤振動と騒音・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 2名
     ⑥振動の単位・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 2名
     ⑦地震計について‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 2名
     ⑧これからの校正‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 1名
     ⑨加振の種類・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 1名
     ⑩共振現象‥・・・・‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・ 1名
   (5)勉強会の時間について
     ①長すぎる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3名
     ②ちょうど良い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20名
     ③もう少し聞きたい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1名
   (6)次回の勉強会への参加について
     ①是非参加したい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21名
     ②どちらでもない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3名
     ③参加したくない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 0名
   (7)勉強会の希望テーマについて
     ①避雷設備および接地関係
     ②電気設備の水害と対策
     ③計装工事の新技術と施工留意点
     ④伝送器や温度計・流量計等の構造と施工
     ⑤プロセス制御について
     ⑥計装に関わる技術者の育成について
     ⑦計装工事業界の未来展望
   (8)計装士会へのご意見
     ①校正の大切さが良く分かりました。
     ②振動と校正について、分かり易く説明していただき大変勉強になり、 知識の幅が広がりました。
     ③項目毎に丁寧な説明で概ね理解できましたが、一部専門的で難しい 部分がありました。
     ④各実験の様子を動画で説明いただき分かり易かったです。
     ⑤技術と工事を分けて開催しては、どうでしょうか。

田村講師勉強会の様子
勉強会受講風景
所 感

 多数の方が、少し専門的ではありましたが、項目毎に深く突き詰められた 内容に引き込まれましたと書かれていました。
 また、振動というごく身近なテーマで、検査・試験は校正がベースとなる ことを学び、SI単位の改訂についても直接関わっていく事なので大変関心を 持ちました。
 最後に、今後とも、田村先生による計装士のための講義継続と、益々 お元気で活躍されることを切に願います。

以 上

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活動報告(四国)

『振動と計測(計装)機器』

活動名『振動と計測(計装)機器』
講 師
田村 純 講師
 三興コントロール㈱ 計測制御サービス事業所 校正技術部 部長
実施日平成30年(2018年)7月18日(水)14:00~17:00
場所サンポートホール高松 51会議室
 香川県高松市サンポート2-1
参加者23名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 藤田 勝治
はじめに

 四国地区では、平成30年度上期の地区活動として、7月18日に勉強会を開催いたしました。以下に概要を報告いたします。

テーマ内容

 テーマ:『振動と計測(計装)機器』
   下記の5つの話題に分け、振動の表し方、振動センサーの計測原理、振動のトレーサビリティーの担保、可搬型の振動計校正装置等のタービン監視計測機器の校正装置、計装機器の加振試験等について、専門的な見地から丁寧に解説、ご教授いただきました。
  ① 振動とは
  ② 振動センサー
  ③ 振動の計測と校正
  ④ 可搬型低周波振動計校正装置
  ⑤ 3.11と加振試験

田村講師

勉強会の様子

勉強会の様子

所 感

 講師の田村様には、昨年に引き続き今年も講義をしていただきました。
 今回は、3.11の地震後、BWR原発では発生水素ガスベント(排気)システム関係の計装機器、電気機器の振動試験を3.11を考慮した形で行う必要が生じ、メーカー殿から依頼されて加振試験を担当されたこと等から、『振動と計測(計装)機器』と題して振動計測に関して詳しくご紹介いただくとともに、加振試験の映像や写真を交えながら、加振試験の苦労話や注意点、計測機器の地震に対する弱点個所等について貴重なお話を聞かせて頂き、大変勉強になりました。
 ご多忙中にもかかわらず、講師としてご説明・ご解説を頂きました田村様に厚く御礼申し上げるとともに、ご参加頂いた皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

以 上

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活動報告(中国)

「石田造船株式会社」

活動名「石田造船株式会社」
実施日平成30年(2018年)3月13日(火)9:30~17:00
場所「石田造船株式会社」
 広島県尾道市因島三庄町字宝崎2931-4
参加者24名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中国地区担当幹事 久城 啓史
1.はじめに

 今年度は広島県尾道市因島の石田造船を訪問しました。
 石田造船は、遊覧船、水中展望船、高速船などユニークな船を独自開発し設計・製造行っています。また現在は、海上自衛隊、海上保安庁、国土交通省など国保有の特殊船の修繕、整備も行っています。

2.施設概要

  工場総面積:12,000㎡
    作業場: 8,500㎡
    ドック:499t型船台 2基
  新造船部門として、3胴型(船体が3個で構成された特殊船)の特許を取得。

3.見学内容

 石田社長自らの出迎えを受け、工場前で造船の概要について説明を聴きました。
 大正12年創業で、創業95周年を迎え現在の社長(三代目)となっています。
 近年の造船業界も再編が進み、全国で500トン未満の新造船を建造できる造船所は、約50社に激減し度重なる逆境の中、他ではつくらない船、遊覧船など特殊船に特化した造船所を目指し頑張っています。機械化が進む造船業界で、機械では製作できない微妙な職人技の手作業にこだわり、ユニークな船の製作を手掛けてきたということです。 現在は、閑散期で国土交通省の海上清掃船が1隻整備のため入船していました。
 次にドックの前に移動し、改修船台(屋根付き全天候型)長さ55m×幅12mへの入船作業について説明を受けました。船が船台に固定され、改修船のドック入りが終わると、潮の干潮を待ってドックと海とを仕切るゲートを大型クレーンで取り付けるということでしたが、満潮時の水圧はとても大きく、ドック内に海水が湧くように入ってきます。船台内の水位があるレベルに達するとポンプで外に出しながら作業をしているそうです。
 続いて、着岸中の双胴型清掃船も見学し、その大きさに圧倒されましたが台風の後などは、一度に回収できないほどの多量なゴミがあるそうです。
 また石田社長は、因島の地域活性化を行うフェスティバルを自社のドックステージで毎年主催者(会長)として行い、若者との交流に努め地元からも大変喜ばれ、メディアからの取材も増えてきているということでした。

接岸中の双胴型の清掃船
4.おわりに

 この度は、造船業という少し違う観点からの見学となりましたが、石田社長からの造船に対する熱い想いとパワーに接し、参加者全員が、アンケートで仕事に対してのこれからの活力が湧き大変有意義だったと書かれていました。
 終わりに、この見学会にご協力いただきました、石田社長をはじめ従業員の皆さま方にはこの紙面をお借りして厚く御礼申しあげます。

以 上

ドックを背景に集合写真
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コラム

電気自動車(EV)化への急速な流れについて

株式会社 関電工
プラント設備部
金子 啓市

 現在の主流を占める内燃機関(ガソリンやディーゼルエンジン)を動力源とする方式の自動車から、電力で走る電気自動車(Electric Vehicle=EV)への移行の流れが急速に進行しています。
 その理由を考えますと、
  1.地球温暖化の主因と考えられる二酸化炭素の排出量を減らす必要がある。
  2.中国の北京やインドのニューデリーなどの都市の自動車の排出ガスによる
    環境悪化を改善する必要がある。
  3.国の産業育成政策の中で、新しい産業分野としての電気自動車製造分野を
    創出し、経済発展の原動力とする。
 等の項目があげられます。
 以下に、もっと具体的内容および、日本の経済に対する影響などを考えたいと思います。

二酸化炭素(以降CO2と表記)の排出量削減の効果について

 電気自動車は、駆動源の電気モーターを蓄電池に蓄えた電気により回転させて馬力を得ています。したがって、電気自動車単体では、使用時にはCO2は排出していません。しかし、エネルギー源の電気は、現在、おもに火力発電所で石炭・石油・LNGなどの化石燃料を燃焼させることにより得ています。したがって、走行時の電気消費量により、電気自動車のCO2排出量が算出できます。発電所からの送電ロスを含めた総合的な計算で、1km走行あたりのCO2排出量(g-CO2/km)はガソリン車の25%程度のようです。電気自動車への移行は確実に環境対策としてのCO2削減に効果がありそうです。
 さらに、発電所は集中的に化石燃料を燃焼させて電気を得ているため、新しい技術による高効率化や環境対策の効果を得やすい。このことは、現状の自動車では個々に対策をしなくてはならない場合と比較すると大変効率的です。

各国のEV化への対応とその思惑

 欧州では2021年以降のCO2以降の規制強化に備えて、ディーゼル車からEVへのシフトが予想されていましたが2015年にフォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題が、この動きを加速させています。ディーゼルエンジンの規制強化に対応するために、多くの時間やコストを掛けるくらいならEV化により一気に解決したいとの思惑があるようです。
 中国では政府により、今年9月末にEVシフトを大きく加速させる政策は発表されました。EV車等の新エネルギー車にポイントを与え、メーカーは一定以上のポイント割合で自動車を生産しなければならない政策です。大まかに言って、電気自動車の生産割合を一定以上にしなければならず、年ごとにその割合は増加させるとの政策です。中国国内のメーカーではすでに目標値をクリアーしているところもあり、かなり中国国内のメーカーに有利なものです。
 自動車製造業界で他国に差をつけられた製品開発力、製造能力をEV化により逆転させたいとの大胆な政策です。

日本のEV化への対応

 日本の自動車メーカーはつい最近までEV化に積極的に対応していませんでした。部分的には、トヨタ、ホンダがハイブリッドカー(HEV)を、三菱自動車・日産がEV車を販売していました。積極的でなかったのはなぜでしょうか?理由は EV化を進めれば自分達の首を絞める結果になると考えていたからです。既存の自動車は、一台当たり数万点の部品から出来ています。
 パワートレインと呼ばれるエンジンで発生した動力を車輪に伝えるための機構(エンジンやトランスミッション)をメインに、冷却系・振動防止系・排ガス処理系・制御回路系と様々な役割を持った機構からなる複雑な構造となっています。
 ちなみに、最近の日本国内の自動車工場新設設備投資の例として、ホンダが行った例があげられます。
 埼玉県小川町にエンジン専用の工場建設に450億円を投資し、さらに近くの寄居町に車体のメインの部品製造や最終車組のための工場建設に1100億円を投資しました。いかに、自動車製造の設備投資に巨額の金額が必要となるかがわかります。
 大量製造大量販売を前提とした業界なのです。新規参入が困難な業界なのです。
 既存自動車メーカーは先行メリットを守りたかったのです。
 EV化は劇的にこの新規参入障壁を崩す可能性を含んでいます。EVの部品点数は既存の自動車に比べ半分以下になるといわれています。EVの部品を機能分類すると、動力源のモーター、それを制御するインバーター、エネルギー源の電池などに分類できます。既存の自動車のエンジン・トランスミッション・排気系を始めとして多くの部品が必要なくなります。これは、巨大な設備投資や高度な技術開発力なしに自動車製造業界への参入が容易になることを意味します。先般、サイクロンクリーナーで地位を確立した英家電大手のダイソンが2020年までにEV市場に参入を表明しましたが、もっとも、端的な例です。既存メーカーは新規参入障壁が無くなり、経営環境が独占的でなくなる環境に対応するために様々な経営努力が求められています。

既存メーカーの業態の変化

 このような環境変化は、企業の組織体制の在り方さえも変えてしまう力があります。
 従来の自動車メーカーは大手メーカーがピラミッドの頂点に位置し、下部に部品メーカーを配置して製品開発や生産計画を連携を取りながら、最大のコストパフォーマンスを求めてきまた。しかしEVの生産では、組織体制は今までのピ ラミッド型は必要なくなります。シャシー・ボディーは今までのピラミッド型の組織を維持しながらも、EVの重要要素であるパワーコントロールユニット関係は水平連携の形になって行く可能性が大です。ここでいう水平連携とは、EVに必要なバッテリー・モーター・インバーターなどの部品をそれぞれに特化した企業から買い付け、それをメーカーが組み立てて出荷するという「組み合わせ型(モジュール型)」の生産で、チームワークより各部品それぞれの能力を最大限に利用してうまく統合するというニュアンスです。うまく、ハンドリングして、環境変化に対応すれば、それぞれの立場で存続ができます。しかし、このことは、日本のパソコンメーカーが最終的にはコンピュータの心臓部であるCPUをインテルにOSをマイクロソフトに独占され、単なる部品組み立て会社になり、主な利益はすべて2社に吸い上げられ、ほとんどのメーカーが外国に買収されてしまった現象と既存自動車メーカーが同じ運命をたどる可能性を秘めています。

エネルギー業界へのインパクト

 EV化の進展は、使用燃料が従来の石油から電気に変わるため、エネルギー業界にも大きな影響を与える可能性があります。
 ここでは、エネルギー業界の中でも特に変化を求められる電力業界について考えてみます。
 今日、電力業界では、発電量が一定ではない再生可能エネルギーの増加に伴い系統が不安定化しています。
 一例をあげますと、太陽光発電装置の発電量は、昼間には発電量が増加し夜にはほとんどゼロとなり、さらに天気にも左右され、必要とされる電力の需給量とうまくマッチングしないことがあげられます。そのため、定置用大型蓄電池な どの電力の需要量と供給量を必要に応じて調整する機能(以下、需給調整機能)が不可欠となってきています。この対応策として、今後普及が見込まれるEVはいわゆる走る蓄電池であるため、電力業界からは需給調整機能としての役割を期待されています。EVの車載電池から系統に融通する技術がうまく確立されれば、再生可能エネルギー導入のための調整力に貢献できる可能性があります。EVの車載電池を群制御できれば、需給調整用の大型蓄電池の導入を抑制できるため、系統整備のコストを引き下げられる可能性があります。

まとめ

 EV化は時代の大きな流れとなることは、間違いのない事実になります。
 日本にとって、プラスとマイナスの要素が混在して、様々な業界に影響を与えながら進行します。変化はチャンスと捉え、日本の技術開発力を信じ、フットワークを軽くしてタイムリーに対応すれば、日本の発展の大きな原動力になるのではないでしょうか。

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活動報告(関東・甲信越)

① 花王株式会社  ② 東京都水道局 森ヶ崎水再生センター

活動名① 花王株式会社
② 東京都水道局 森ヶ崎水再生センター
実施日平成30年(2018年)2月23日(金) 8:30~17:00
場所① 花王株式会社
  神奈川県川崎市川崎区浮島町1-2
② 東京都水道局 森ヶ崎水再生センター
  東京都大田区昭和島2-5-1
参加者22名(うち計装士会6名)
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者企画・研修委員 橋本明洋
1.はじめに

今回は「花王 川崎工場」および「森ヶ崎水再生センター」の見学会を実施しました。
 参加者は総勢22名、うち計装士会からは6名が参加しました。当日は品川駅を定刻にバスで出発し、最初の見学先である花王 川崎工場に向かいました。道中は渋滞に巻き込まれる事もなくスムースに移動できたため、予定より早く目的地に到着してしまいました。

花王 川崎工場では、製品の充填ライン、自動倉庫の見学を行いました。
 終了後、昼休憩を挟み、森ヶ崎水再生センターにて、バイオマス発電設備等の見学を行いました。
 見学後は、東京モノレールの昭和島駅に隣接していましたので、東京モノレールを利用するグループと出発地である品川駅までバスで移動するグループとに分かれ、解散しました。
 計画不足のため不手際もありましたが、事故や遅延もなく全工程を完了し、アンケートの評価もよく、見学会を実施する事ができました。

2.花王 川崎工場見学

(1)施設概要

花王 川崎工場では、主にシャンプーや衣料用洗剤を製造・出荷されています。

エントランスホール (参加者一同)

  2)ガイド付き見学ツアー

    製造・出荷工程としては、①原材料の受け入れ ②界面活性剤の製造 ③界面活性剤と他の原料との混合 ④容器への充填 ⑤段ボールへの梱包 ⑥自動倉庫へ仕分け・保管 ⑦出荷となっています。
    希望としては、①~③の材料の製造工程を見学したかったのですが、見学通路等整備されておられず、④の充填工程以降の見学となりました。

(1)充填工程・梱包工程

     見学時、製造ラインでは、コンパクトタイプのボトルへ衣料用洗剤が充填されていました。花王 川崎工場では、製造ラインの大幅な変更を行わずともサイズ違いのボトル、詰め替え用の容器といった異なる容器へ充填ができるように工夫がされているとの説明を受けました。
     また高度に自動化がされており、大きな工場にも関わらず少人数で管理が行われているとのことでした。

  (2)自動倉庫

     箱詰めされた製品をのせたパレットを、発送先に応じて先入れ先出しになるように、収納・保管がなされていました。見学時は11時ぐらいという事もあり、空いている棚がいくつか見受けられたのですが、製造ラインは24時間稼働しており、夜間勤務終わりぐらいで倉庫が一杯になると。そのあと順次出荷され、だいたい1日で保管されている製品が一巡するとのことでした。

3.森ケ崎水再生センター見学

 (1)施設概要

   東京都水道局が管理する下水処理施設の1つで、国内最大の水再生センターです。
   森ヶ崎水再生センターでは、水処理工程で発生した汚泥より消化ガス(メタンガス)の抽出を行っています。
   この消化ガスをバイオマス発電設備の燃料として活用されています。これ以外にも太陽光発電設備、小水力発
  電設備、NaS電池設備の運用をされています。運用されている設備規模は次の通りです。

  常用発電設備
   バイオマス発電設備(ガスエンジン発電機) : 3,200kW × 1基
   太陽光発電設備                 : 1MW (250W × 4,480枚)
   小水力発電設備                 : 95kW × 2基

  非常用発電設備
   非常用兼常用予備ガスタービン発電設備  : 1,840kW × 1基(汚泥消化ガス使用時)
   非常用ガスタービン発電設備          : 3,200kW × 2基

  2)ガイド付き見学ツアー

  (1)バイオマス発電設備
     下水処理過程で回収した汚泥を、汚泥処理施設にて濃縮し消化槽へ送ります。消化槽にて濃縮した汚泥を51℃の環境で2週間ほどおくことで、汚泥の有機分が消化ガス(メタンガス)になります。この消化ガスを燃料にガスエンジンで発電が行われます。発電時に発生した熱は、消化槽の環境を保つために使用されており、電気・熱共に有効利用がなされています。
     このバイオマス発電設備とNaS電池設備の運用・管理は、PFI事業として、発電設備の管理ノウハウを持つ民間企業に委託されています。

汚泥処理設備
ガスエンジン発電機

 (2)太陽光発電設備

   下水処理設備の反応槽の臭気・転落防止用の覆蓋上部に太陽光モジュールが設置されています。森ヶ崎水再生センター周辺は、羽田空港が近いこともあり、建物の高さ規制のエリアになっています。そのため、建物の陰になることがなく、高い効率で運用ができています。年間発電量は、約115万kWh(一般家庭の約330世帯分に相当)の発電を行っています。

 (3)小水力発電設備

   処理水の放流きょは、高潮などに備えて海面より数m高い位置に設置されています。その落差を利用した発電機が設置されています。取水方法は、サイフォンの原理を利用して取出している。
  年間発電量は、約80万kWh(一般家庭の約230世帯分に相当)の発電を行っています。

処理水放流きょ
水力発電機
集合写真(NaS 電池設備前)
おわりに

 今回の見学先は、参加者の現在の業務に直接関わる分野ではなかったかもしれませんが、何か得ることができたのであれば幸いです。
 最後に今回の見学会にご協力いただきました花王株式会社、東京都水道局の関係者の皆様に感謝とお礼を申し上げます。

以 上

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活動報告(近畿)

キューピー株式会社 神戸工場

活動名キューピー株式会社 神戸工場
実施日平成30年(2018年)2月15日(木) 13:00~17:00
場所キューピー株式会社 神戸工場
  兵庫県神戸市東灘区深江町27-1
参加者19名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事 堀田 保
1.はじめに

 平成29年度近畿地区の活動として、2月15日に上記見学会を開催しましたので、 以下に概要を報告致します。

2.キューピー株式会社 神戸工場

 (1)見学施設概要
    神戸市に新設した「キユーピー神戸工場」は、2016年10月に操業を開始しました。
    国内に工場を新設するのは10年ぶり、マヨネーズの主力工場としては、 45年ぶりとなります。
    主な製造品目は、「キユーピーマヨネーズ」「キユーピードレッシング」など、 家庭用調味料の基幹商品、および業務用のマヨネーズ・ドレッシングです。
    神戸工場は、グループのモデル工場と位置付け、環境に配慮した省エネ設計、 最新技術の導入により効率化・高品質化を目指しています。
    マヨネーズの充填ラインでは、従来設備と比較して約2倍のスピードアップを図り、タイムリーな生産がよりたやすくなっています。
    神戸工場の調味料生産量は、グループの全調味料の約3割を占め西日本のマザー工場として主力製品の製造を担っています。

 (2)見学内容
   【ホール】
    野菜や卵の知識、キユーピーグループのものづくりへの想い、商品の歴史が楽しみながら学べます。
    自由に触りながら選んで学べる展示ゾーンになっていて、お子様連れでも楽しめるような工夫が施されていました。

   【映画鑑賞】
    マヨネーズやドレッシングの作り方や野菜についての映画を鑑賞しました。
    マヨネーズ誕生秘話
    発祥:地中海のメノルカ島
    リシュリュー侯爵が港町マオンでお肉に添えてあるソースに出会う。
    味を気に入りそのソースを「マオンのソース」として紹介した。
    それが「マオンネーズ」になり、のち「マヨネーズ」となったと言われています。
    日本初のマヨネーズ誕生
    創始者中島董一郎はアメリカで缶詰の勉強をしていました。
    当時からアメリカでは、日常的に野菜サラダが食べられていました。
    その調味料はマヨネーズでおいしくて栄養価も高いと注目し、 帰国後日本人の体格向上を願って、当時の輸入品を比べて約2倍の卵黄を 使ったといわれる栄養価の高いマヨネーズを日本で発売しようと考えました。
    1925年3月ついに、日本初のマヨネーズの製造に踏み切ります。
    商品名は「キユーピーマヨネーズ」。
    誰からも愛されるようにと名付けられたそうです。
    由来は、「キューピーちゃん人形」ですが、社名は小字を用いず 「キューピー」ではなく、「キユーピー」です。

   【製造工程の見学】
    ドレッシングの製造工程を担当者の方に説明されながら見学しました。
    写真撮影不可でしたが、包装ラインなど最先端の設備に感嘆しました。
    製造工程の概要
    原料到着→原料の品質検査→調合→充填→キャップ締め→印字→包装→箱詰め→出荷となり、ドレッシングの製造ラインでは、ドレッシングの充填、ラベル貼り、 箱詰めまでの工程を見学しました。
    ドレッシングの瓶が流れていく速さには驚きです。
    次回機会があれば、マヨネーズの製造工程も見学したいと思います。

   【試食】
    野菜スティックと一緒に様々なドレッシングやマヨネーズの試食をしました。
    マヨネーズ・ドレッシングを色々比較しながら食べることはなかったので、非常に良い体験となりました。

   【土産】
    ドレッシングのお土産を頂けました。

試食       
集合写真

”ようこそキューピー神戸工場へ”

5.おわりに

 今回は、年度末の多忙にもかかわらず多くの方、また多数の会社の方に ご参加いただくことができ、皆さまには心からお礼を申し上げます。
 大変有意義な見学会になったと感じております。
 キユーピー神戸工場においては、厳選された原料を使用し、こだわりの製法で おいしいマヨネーズをつくっているということを強く感じました。
 次回も多数参加していただけるような見学会を企画していきたいと思います。
 最後に今回の見学会にご協力いただいた、キユーピー株式会社様はじめ、 関係各位に厚く御礼申し上げます。

以 上

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活動報告(四国)

1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター 2. アサヒビール株式会社 四国工場

活動名1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
2. アサヒビール株式会社 四国工場
実施日平成30年(2018年)2月8日(木) 8:20~18:30
場所1. 一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
   香川県観音寺市瀬戸町
2. アサヒビール株式会社 四国工場
   愛媛県西条市ひうち
参加者22名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者四国地区担当幹事 佐藤 和宏
1.はじめに

(1)一般財団法人阪大微生物研究会 観音寺研究所 瀬戸センター
  (ワクチン工場内は撮影不可)

   管理棟の会議室でBIKENグループの沿革として、1934年に現大阪大学微生物病研究所が微生物病の基礎研究を行い、その応用研究とワクチン等の製造、検査、供給を阪大微生物病研究会(BIKEN財団)が担うという「大学発ベンチャー」からスタートし、2017年に田辺三菱製薬株式会社と、ワクチン製造の生産基盤の強化を目指し株式会社BIKENという合弁会社を立ち上げたという説明がありました。
   観音寺地区には、瀬戸センターのほか、八幡事業所などがあり、八幡事業所でインフルエンザワクチン等を製造し、その充填、検査、包装、出荷の一部を瀬戸センター側で行っているとのことです。BIKENグループの事業としては、このワクチン生産・供給のほか、ワクチン研究・開発、学術助成、検査事業を「病の不安からの解放されたすこやかな未来をめざして」をスローガンに進めていくとの説明がありました。
   その後、場所を製造棟などに移して、ワクチン工場を見学しました。瀬戸センターでのワクチン生産開始は2019年度を予定していること、インフルエンザワクチン生産のピークは、夏場で生産が完了していることなどから、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、培養器反転装置などのワクチンの開発・製造にかかわる設備や充填装置や検査装置などを確認することが出来ました。また、容器に充填した後の検査工程では、機械よりも人による検査が後工程にあり、機械よりも精度の高い検査を人が目視で行っていることに驚くとともに1人が1000本を1時間で検査しているということ、検査は独自の適性試験に合格した者だけが行い、検査員は全て女性で男性には適正がないということに2度驚かせられました。

見学者集合写真 (管理棟 1F)
机上説明会 (管理棟 3F 会議室)

(2)アサヒビール(株) 四国工場(撮影可)

   エントランスホール1Fに計装士会以外の見学者と一緒に集合した後、長いエスカレータで3Fに上り映写室に移動して、見学者向けPRビデオを見たのち、見学専用コースでビール製造の各工程および設備、環境保全への取組等を確認しました。
  ビールの主原料は、大麦、ホップ、水で、大麦に副原料の米、コーン、スターチを加えて煮て、麦汁を製造し、これにホップで香りと苦みを加えたのち、ビール酵母で発酵させ、麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて若ビールとなります。その若ビールをさらに熟成したあとに、丁寧にろ過すると、ようやく黄金色に輝く生ビールになるそうで、完成までにおよそ1ヵ月を要するとのことです。
  発酵・熟成タンクは、直径6m×高さ20mで1本に500kLのビールが入っていて、四国工場には、80本のタンクがあり、発酵状態などを常に監視して、最適な発酵状態を維持するため0.1℃単位の制御を行っているとの説明がありました。また、毎日できあがったビールは専門の担当者が実際に試飲する官能検査を行っており、自社と他社のビールの違いや、製造してから時間が経ち劣化した味などを判別する独自の資格試験で選抜された担当者が、午後4時から1時間だけ検査を行い、そのメンバー向けの専用の送迎もあるそうです。
   出来上がったビールはパッケージングの工程で、缶、瓶、樽ごとに専用の設備で詰められて入味(いりみ)検査機で厳しい検査を行い、ケース詰めして出荷しています。缶詰機は、毎分1500本のスピードで缶詰を行っており、目にもとまらぬ速さで、ビールをそそぎ、缶内部に 空気が入らないよう泡が残らないよう泡を飛ばしながら蓋をするという一連の動作を行っているとの説明がありました。この装置が実際に動いている様子を見ていると、出来上がった缶ビールが確認できないくらいのスピードで流れており、もの凄い装置だという思いと、当たり前のように日常的に動いていることに不思議な感覚を憶えました。
   また、環境保全へ取組として、ゴミは出さすリサイクルしており、モルトフィード(仕込みで使った麦芽の殻皮)は家畜の飼料など、余剰酵母は食品や薬品の原料、ガラス屑類は再生ビンや建材など、アルミ屑はアルミ缶や電気製品などに100%再資源化するとともに、水源地の森資源活動などに取組んでいるとの説明もありました。

見学者集合写真(エントランス 1F)
3F 映写室
缶ビールを生産する缶詰機
環境保全へ取り組みの説明様子
おわりに

  四国地区の見学会は毎年2月頃と寒い時期の開催で、今年は、特に前週から寒さが厳しくなっており、場合によっては雪が降る可能性なども心配をしておりましたが、見学会当日は一日中ずっと晴れて見学会日和でした。ご参加いただきました皆様には、本会運営にご協力いただきまして誠に感謝しております。
  今回は、観音寺市でワクチン工場と西条市でビール工場を見学してきました。ワクチン工場は、まだ、製造工場としての稼働は先で、出来上がったワクチンの充填~出荷までを行っているとの話でしたが、ワクチン製造のピークの時期を過ぎているため、稼働している機械を見ることはできませんでしたが、その後のビール工場を見学した際に、設備構成が似ていると感じました。製造する製品が、ワクチンとビールで、全く違う分野の物ですが、タンクで培養または発酵させるために、タンク内の温度を測定して、温度を制御し、工程が完了したら、ろ過精製して製品にする。この過程が良く似ていて、取扱う対象や温度、制御する精度などに違いはあるものの、大きく見れば同じような設備であり、監視や制御も同じように行っており、どちらも計装士が活躍できる場になるとと感じました。
  参加者の皆様におかれましては、普段は、なじみのない現場などの見学が、直接的・間接的に、皆様のお役に立つ何かを見つけて頂く機会となれば幸いです。また、次回の見学会も楽しみにお待ち頂ければと思います。
  最後に今回の見学会にご多忙な中、ご協力いただいた一般財団法人阪大微生物研究会観音寺研究所 瀬戸センターおよびアサヒビール株式会社 四国工場の皆さまをはじめ、関係各位に厚く御礼申し上げます。高い技術力と強い基盤をもった企業として益々発展されますことを祈念いたします。

以 上