九州・沖縄地区担当幹事
今吉 俊博
活動名 ひびき灘石炭・バイオマス発電所見学会 実施日 令和6年(2024年)3月1日(金) 12:30~16:00 場所 北九州市若松区ひびき灘石炭・バイオマス発電所 参加者 15名 主催 計装士会 報告者 九州・沖縄地区担当幹事 今吉 俊博
1.はじめに
九州・沖縄地区の施設見学会は、新型コロナウィルス パンデミックの影響により約4年活動を休止してました。特にパンデミック初期の2019年度は、最新のバイオマス発電所を見学しようと意気込み、ひびき灘石炭・バイオマス発電所に見学を申し込んでいましたが、見学会の直前に新型コロナウィルスの第1波感染拡大が起ったことで見学会を中止することになり、非常に残念な思いをしました。
今年度は、新型コロナウィルスの感染法上位置づけが5類に意向したことで、施設見学を再開するとともに、中止となったひびき灘石炭・バイオマス発電所への見学会も実現することができ、大変うれしく思います。
2.見学内容
(1)ひびき灘石炭・バイオマス発電所の概要
運 営 会 社 :響灘エネルギーパーク合同会社
設 立:2014年7月(運営会社)
所 在 地:福岡県北九州市若松区響町2-7-2
発 電 出 力 :112,000kW(発電機端)
燃 料:石炭 約70%、木質バイオマス燃料 約30%
※熱量ベース。運転状況により割合は変えている。
炉 形 式 :微粉炭ボイラ
送 電 端 電 圧 :66kV
(2)発電所の特徴
①木質バイオマス燃料を使用
安定した燃料である石炭をベースとし、環境への配慮として木質バイオマス燃料(木質ペレット、木質チップ)を混焼しています。石炭は世界各地に埋蔵されているため、安定供給はもとより化石燃料の中でも経済的に優れています。
一方、二酸化炭素排出量が多いため、この発電所では環境負荷軽減のため燃料の一部に木質バイオマスを使用しています。このバイオマス燃料を使用することにより石炭のみで発電する発電所と比較して、約30%の二酸化炭素排出を抑えられます。
②高効率発電
石炭と木質バイオマスの燃焼で発生した熱エネルギーを蒸気として回収し、タービン発電機を回して発電を行っています。その熱効率は標準燃料混合比で約42%に達します。また運転の最適化の結果、現在ではある程度バイオマス燃料の割合を上げても同等の熱効率を維持できるとのことでした。
発電出力の112,000kWは一般家庭 約20万世帯分に相当するとのことです。
③環境に配慮した発電所
燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害物質は、最新の排ガス処理装置により除去した後、大気中に放出しています。また、冷却塔では白煙防止装置を設置し、周辺環境への配慮に努めています。
また、電気集じん装置で補修されるフライアッシュの一部は、セメントの原料として有効利用しています。また、排煙脱硫装置で生成される石膏は石膏ボードの原料として利用されています。
(3)見学内容
①概要説明
プロジェクターを用いて、施設概要、発電フローなどに関して説明頂きました。専門家でなくとも分かり易い言葉を用いて丁寧にご説明頂き、非常に理解し易く大変参考になりました。
②施設見学
煙突よりもくもくと白い排気が立ち上るなど、通常稼働状態の発電所を見学させて頂きました。ボイラ架構、タービン建屋、燃料バンカ、電気集じん機、排水処理設備など稼働中の設備を一通り見学することができました。特にボイラにおいて、微粉炭を噴射・燃焼させるバーナー部分の燃焼状態をボイラの小窓より直接覗けた事が印象深かったです。
③質疑応答
参加者の方々より様々な内容の質疑をさせて頂きました。皆様積極的に質疑され、皆様のバイオマス発電所への関心が伺えました。
回答もご丁寧に説明頂き、大変よく理解できました。
3.おわりに
今回の施設見学会では、4年前に中止となったバイオマス発電所への見学を行いました。近年話題のバイオマス発電所にという事で、早々に予定人数に達するなど大変好評な見学会となりました。
今後も、益々発展していく環境関連施設、その他に社会的話題に上っている施設など、皆様が関心をお持ちの施設へ見学会を実施していき、少しでも知見が広がればと思っています。
最後に、今回の見学会にご協力いただいた響灘エネルギーパーク合同会社の方々、計装士会をはじめ関係者の方々に感謝し御礼申し上げます。
【執筆者紹介】
今吉 俊博(いまよし としひろ)
株式会社 九電工
技術本部 電気技術部
電気技術二課 電気プラント
担当課長