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活動報告(中部・北陸)

中部電力株式会社「へきなんたんトピア」

活動名中部電力株式会社「へきなんたんトピア」
実施日平成26年(2014年)1月24日(金) 12:30~17:00
場所中部電力株式会社「へきなんたんトピア」
  愛知県碧南市港南町2-8-2
参加者16名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者中部・北陸地区担当幹事 池上 幸男
1.はじめに

 中部・北陸地区の平成25年度の見学会は,石炭火力としては国内最大,世界でも最大級の発電出力を誇る発電所の「へきなんたんトピア」の発電所内ツアーを行いました。
 「へきなんたんトピア」は,電力館,ヒーリングガーデン,エコパークからなる複合施設です。
 発電所ツアーでは,ボイラ最上階および石炭ミル近傍・中央制御室から貯炭場を見学しました。

2.見学内容

  碧南火力発電所は,名古屋市の南,矢作川の河口付近の衣浦湾に面する碧南市に位置し,三河湾の青い海に浮かぶヨットを建屋にモチーフとしてデザインされた建物がたくさん並ぶ大きな発電所です。
 電力館の館長より発電所の概要や環境対策等の説明を受けました。

 中部電力管内で現在唯一の石炭焚き発電所として石炭燃焼ボイラ等の発電設備5ユニットから構成されています。1号から3号までは70万kw 4号・5号が3,600回転機として世界初の一軸型100万kwを採用しています。

たんトピアホールでの発電所概要説明

 石炭火力といっても最近は石炭だけでなく「バイオマス混焼」として間伐材を利用した「木質バイオマス燃料」と下水汚泥を炭化した「下水汚泥炭化燃料」を一定割合混合して燃焼させる,低炭素社会の実現に向けた取り組みも行っているそうです。
 また,発電所設備の大きなエリアに設置された環境保全設備としての,「排煙脱硝装置」,「乾式・湿式集塵器」,「排煙脱硫装置」の役割や副生物の有効活用方法等環境への負荷を少なくする取り組みについても説明を受けました。
 世界では,石炭を燃料とする発電量比率がかなり高く,日本発の環境保全機能を広く活用することでまだまだ石炭火力発電所の役割は大きなものだと思われます。

 発電所設備見学ツアーは,まず4号ボイラ最上階です。
 地上からの高さ80メートルの屋上から目につくのは,広大な三河湾と緑の多い周辺の景色です。
 高さ200メートルの3本集合と4本集合の煙突,それに向かって右の奥の方にきれいな青い遮風フェンスに囲まれた「貯炭場」とそこから延びる白い長い帯状の「ベルトコンベア室」。
 これはベルトコンベアで運ばれる石炭の粉末の飛散防止のために密閉された部屋で,全長数数百メートルになります。
 1号~3号用のベルトコンベアは地上からボイラトップに近い位置までスロープで繋がっています。4・5号用はユニット近傍で垂直に運ばれるそうです。   

4号ボイラ最上階から付帯施設を見る

対岸には,中部電力武豊火力発電所の煙突もうかがえます。武豊火力発電所は老朽石油焚き火力であるが昨今の電力事情により稼働しているようです。
 反対側には,電力館の建物やヒーリングガーデン・エコパークが眼下に見学出来ます。
 貯炭場と反対側に位置する大きなエリアには「灰捨地」があり,トラックが忙しそうに行き来しています。
 ボイラ屋上に設置されている太い配管を横目に見ながらボイラ建屋3階の石炭粉砕機である「微粉炭機=ミル]の見学が出来るエリアへ移動します。

 「ミル」は,大きなロータにより石臼で石炭を小麦粉位の細かさに砕きます。
 ベルトコンベアで運ばれバイオマス燃料と混ぜられた石炭は,「バンカ」に溜められ「給炭機」で石炭量を制御され「微粉炭機」の中央部分から配管で石臼の中に供給されます。
 細かくされた石炭は,燃焼用空気でバーナーに送られ燃やされます。

中央制御室は,3号(平成5年営業運転開始)と4・5号の増設に伴い平成13年・14年に拡張され,3方向に向けて制御盤が並んでいます。 

設置された年代が違うためにユニットの制御方法が大きく変化したのが,主盤と副盤の大きさの比で如実にわかります。

 3号は,副盤が3面になっていますが,4号・5号は,1面になっています。また,3号の副盤は横から内部に入り作業が出来るように扉が設けられていますが,4号・5号はそうなっていません。密閉された箱です。
 主盤も4号・5号は,モニタが5台設置され1名で監視・操作していますが,3号は,モニタと思われるものは1台で,運転監視端末として液晶モニタが3台を2名の運転操作者で対応していました。

 バスに乗車し貯炭場の見学に出発です。エリアが離れているので一般道で変電所設備やバイオマス燃料の混入設備を眺めながら貯炭場のゲートへ向かいます。
 管理のために入所手続きを行い,遮風フェンスの中の高台(津波避難場所の説明あり)の見学場所へ階段を上がります。

 ほとんど風を感じない中で説明を受けます。

石炭の大きな畝が5本と若干高さが違う畝1本が,面積約300,000平方メートルの中にあり,最大貯炭量として880,000トンを蓄えることが出来るそうです。
 5本の畝は,平地に山状に積み上げて貯炭しますが,1本は4号・5号用として利用されますがエリアの関係で貯炭量を確保するために半地下式になっているそうです。

 専用船の三州丸が着 岸して「アンローダ(揚炭機)」で石炭の陸揚げを行っていました。
 受入コンベアでそれぞれの畝に運ばれ「スタッカ(積付機)」で山状に積み付けています。
 また,一番手前の4号・5号用では,「門型リクレーマ(払出機)」が大きなシャベルを回転させながら石炭をベルトコン ベアに落とし込んでいます。
 足元を流れるベルトコンベア1条には,シャベル一杯分と思われる小型車位の山が連続して流れていきます。

貯炭場
3.おわりに

 今回は,午後から半日と短い時間での見学会として1箇所のみとしました。
 石炭火力発電所は近年ベース火力として活躍しているので計装士会の皆さんに見ていただくことで,近い将来設置されるかも知れない石炭焚き発電所の工事に携わる時の知識として頂ければ,会の活動に協力していただけるのではないかとも考えて計画しました。
 また,今回の見学会にご協力いただいた関係各位に感謝し御礼を申し上げます。

以 上

ヨットイメージの発電所前で見学参加者集合写真