カテゴリー
活動報告(近畿)

「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」

活動名「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装の世界」

講 師
アズビル株式会社
ビルシステムカンパニー・マーケティング本部
シニアアドバイザー 福田 一成 講師
実施日令和元年(2019年)9月20日(金)14:00~17:00
場所TKPガーデンシティー 大阪梅田
 大阪市福島区福島5-4-21 TKPゲートタワービル
参加者11名
主催計装士会
協賛(一社)日本計装工業会
報告者近畿地区担当幹事  三好 真二

 令和初の近畿地区活動として、上記勉強会を実施しました。
 福田講師による勉強会は、平成26年度「計装士のためのビジネス&パブリックポリシー」、平成27年度「計装士のための再生可能エネルギーとその利用技術」に続いて3回目になります。
 今回は、上記テーマの「空調制御の最新動向」及び「IoT時代への対応・実証事例の紹介」 さらに、「最新政策と計装~省インフラという技術」について3時間にわたってご説明いただきました。
勉強会概要は以下のとおりですが、非常に興味深い勉強会となりました。

勉強会概要

 

 1.クラウドBEMSサービスや新たなセンシング技術を駆使して
  「在室者の気持ちに寄り添う新しい空調計装」の最新動向について
   快適を創造することで実現する新たな空調計装へのチャレンジ
   ・温度設定はビルや機器に帰属するものではなく、人に帰属するべき.
   ・均一な温度制御から人が好みの温冷空間を選択できるようにする.
   ⇒エネルギーのムダを省き、居住者に“おもてなし”を提供するこれからの空調制御
   ●新しい空調計装のためのBEMS要素技術
   ・クラウドBEMSサービス:クラウドサービスによる新たな価値/コストメリット/TS(テナントサービス)/情報共有 の活用/温冷感申告への活用/温冷感申告カード
   ・赤外線アレイセンサー
   ●パーソナル温冷感情報による空調制御
   ・室温設定の問題点
   ・温冷感申告空調の登場
   ・温冷感申告空調の工夫:「過剰冷暖設定への対応」、「申告判別」、 「環境による判別」、「時間帯による判別」
   ・温冷感申告空調の実証実験
    ・前回と異なる申告がどのくらいの割合で起こるかを調べ、制御の妥当性を評価.
    ・そのうえでリセット機能有り、無しで申告の発生頻度を実測.リセット機能があると極端な温度設定が抑制され省エネであることが分かった.
   ●個人が選択する温冷空間
   ・3次元温熱可視化システムの構築・概要
    環境計測データとCFD解析を組み合わせて、室内の温度分布情報を3次元的に可視化.
   ・3次元温熱可視化システムの実証事例
    CFD解析、CFD解析の簡素化、簡単CFD解析の評価
   ●さらに気遣いあふれるおもてなし制御
   ~設備の制約を制御でカバーする工夫~
   ・寒い暑いの原因となるVAV最小風量対策
   ・VAV合計風量による給気温度と全閉・最小開度変更制御
   ・VAV全閉に対する温冷感申告への対応
   ・冷暖同時要求に単一ダクトVAV方式で対応する制御
   ・冷暖フリーVAV制御
   ・温冷感申告による冷暖フリーVAV制御判断
   ・温冷感申告でさらなる快適を提供するこれからの展望
   ・「温度」だけでなく、「温度、湿度、気流、放射温度」など様々な観点で制御.
   ・人は、周期的に快適感を感じると、満足感が向上する.

  2.IoT時代への対応・実証事例の紹介
    IoTで何が変わるのか
    新しいテクノロジー・スタック、ビルにおけるIoTインテグレーション、
    IoT時代には企業間の連携が不可欠
   ●BEMSによるスマート機器IoT化実証事業
   スマート設備機器インテグレートの例として、これまでなかったトイレ設備の統合化
   ●取り組みの背景・目的
    トイレのBEMS接続によって、以下の効果が期待できる。
   ・設備管理の効率化
   ・トイレ利用者の利便性向上
   ・設備設計支援
   ●実証環境、実証概要、収集データ

 3.最新政策と計装~省インフラという技術
   「省インフラ」とは、これまでの大規模なネットワークインフラに依存していた社会ではなく、できるだけインフラの負担を軽減しながら、質の高い生活を維持するためのサービス提供の方法、技術
    暮らし方の総称.
   ●震災後の安倍政権での新しい政策
   ●モノもサービスも市場が縮小する時代へ
   ・「だから海外」では、国内は空洞化
   ・2020年は縮小する現実に沿った対応へのはじまり
   ●さらに迫る朽ちるインフラ問題
   ●最近のインフラ崩壊事例
   ●成長と成熟のシティマネジメント
   ●省インフラの手法:3階層マネジメント
   ・施設を維持するのではなく、機能を維持する考え方
   ・公と民の連携が必須
   ●省インフラの技術1:インフラの物理的総量を減らすさまざまな技術
   ●省インフラの技術2:ライフサイクルコストを削減する多様な技術が必要
   ●事例1 広域化  
   ●事例2 多機能化
   ●事例3 工場機能のインフラ活用  
   ●最近の省インフラ関連政策  
   ●建設・インフラ関連政策と省インフラ
   ●省インフラに必要な人材  
   ●システムインテグレーター~悉皆屋  
   ●「省インフラ」に貢献する計装技術
    モノだけに頼らず、ものをうまく使いこなすというのは、計装技術が得意とする分野である。

福田講師
聴講風景
所 感

 本日の勉強会を通じて、快適性とは何か、利便性とは何か、それを実現するためにはどうするのか?改めて、考えさせられました。これまでの「センサー情報により、装置、機械をどう制御するか」という制御から、「人を中心に、人がどう感じているかといった情報により、人が快適と感じる状況をどう現出するか」という制御へ。あるいは、「与えられた様々な情報から、人が利便性を感じるような情報はどの様な情報で、それをどの様に表現するのか」、等々。
 計装士会として、今後さらに、有益な情報提供、情報交換の場であるように講演会、見学会等を企画、開催していきたいと思います。
 最後になりましたが、今回の勉強会にご尽力いただきました福田講師、(一社)日本計装工業会殿の関係者の皆様と計装士会の関係者の皆様には心より感謝と御礼を申し上げます。

以 上