● 再生可能エネルギーの定義・意義 ① IPCCの定義 ⇒太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、自然界によって利用する以上の速度で補充されるエネルギー全般 ② 対義語 ⇒枯渇性エネルギー:化石燃料、ウラン等地下資源 ③ 日本のエネルギー・資源学会での定義 ⇒再生可能エネルギー資源とは、枯渇性エネルギー資源に対する用語で、絶えず資源が補充されて枯渇する事のないエネルギーであり、太陽光、風力、水力、バイオマス(生物資源)、地熱、太陽熱、バイオ燃料などを含む。 *人類が石炭を本格的に使用してきたのは産業革命以後の250年程度であるが、あと160年ほどで枯渇すると言われており、バイオマスエネルギーとして植物を利用するとき、植物の生長期間で育った分だけ利用すれば枯渇しない。 ④ 化石エネルギーの有限性 ⇒石油で40年、石炭で160年と言われ、今すぐではないが、100年ぐらいの間になんとかしなければならないというところがポイントになる。 ⑤ 再生可能エネルギーの意義 ⇒長所及び社会的価値 ・「非枯渇資源」・「低炭素」・「Nox、Sox、放射性廃棄物を出さない」 ・「冗長性、自立性」・「新産業(代替産業)としての経済効果」 ⇒短所 ・資源によってエネルギー密度が低い ・他の産業、活動などとの競合(紛争)
● 我が国の再生可能エネルギー推進の歴史 ① サンシャイン計画 ⇒オイルショック以降、(1973年)太陽光発電、風力発電、燃料電池などの発電システムが注目を集め、 1974年9月石油代替エネルギー・新エネルギーの技術開発を目指す「サンシャイン計画」が発足 ⇒1980年 日本のサンシャイン計画の実施機関として「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)が設置される。 ② ニューサンシャイン計画 ⇒1993年 それまでのサンシャイン計画、ムーンライト計画、「地球環境保全技術」を統合して「ニューサンシャイン計画」が始まる。 ③ 新エネルギー導入大網 ⇒1994年12月 石油に代わる安定したエネルギー源の確保、低炭素化などの目的で新エネルギー導入を積極的に図ることを主旨とした「新エネルギー導入大網」を閣議決定。 ④ 設備補助金から再生可能エネルギー買取へ ⇒2000年 グリーン電力証書 ⇒2003年 RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別処置法)施行 ⇒2009年 余剰買取制度(固定価格) ⇒2012年 再生可能エネルギー特別措置法(全量固定価格)FIT ⑤ FITの課題 ⇒買取にかかる費用は電力価格に広く上乗せ(賦課金)、電力料金の高騰 ⇒予測不可能且つ制御不可能な制度設計
● 今度の導入と技術開発の見通し ① 2030年長期エネルギー需要見通し ⇒新エネ 4.3%+水力3.2%→13~14%:新エネ4.3%→9.8~10.8%の2.5倍
2.各種再生可能エネルギーの特徴と課題 ① 過去10年間の再生可能エネルギーの伸び率 ⇒2003年(1,300万KW)→2008年(1,600万KW)年間平均伸び率5% ⇒2008年(1,600万KW)→2012年(2,300万KW)年間平均伸び率9% ⇒2012年(2,300万KW) →2013年(3,000万KW)前年比32% *太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスの中で、太陽光の普及が殆どである。 ② 今後期待される再生可能エネルギー ・太陽光発電 ・風力発電(陸上風力、洋上風力) ・バイオマスエネルギー(木質系、農業残さ系、家畜排せつ物等) ・バイオマス発電(間伐材、熱分解ガス化、メタン発酵等) ・熱利用(バイオマス熱、太陽熱) ・海洋エネルギー ・地熱・地中熱エネルギー ・中小水力発電
3.再生可能エネルギー利用技術 ● 再生可能エネルギー導入に伴う系統課題 ① 電力需給ギャップの発生 ⇒現在の電力系統は需要に対して発電量を制御して安定供給しているが、太陽光や風力は気象条件で出力 が変動するため、大量に接続すると需給のバランスが保てなくなる。 ② 周波数変動の発生 ⇒電力系統において、需要と発電量のバランスが崩れると、周波数が変動し需要家側の機器に影響を及ぼすと共に、周波数が変動すると、発電機の保護機能が働き、発電機が解列し大停電を引き起こす。 ③ 配電系統の電圧上昇 ⇒配電系統に連係される再生可能エネルギー電源が増加すると、電力が逆潮流する事によって、連係点の電圧が適正値を逸脱する。
● 対策技術 ① 電力側 ⇒変動する出力と需要とのギャップを火力発電や水力発電などの従来型電源の出力調整により吸収する。 ② 再生可能エネルギー側 ⇒揚水式水力発電 ⇒風力発電の出力調整機能 ⇒FACTS(パワーエレクトロニクス技術を用いた電圧上昇対策) ⇒蓄エネルギー(電力潮流安定化技術) ⇒水素利用(エネルギー変動調整) ③ スマートコミュニティの実証 ⇒単一部門(家庭)のみの制御(住宅団地型、戸別住宅型) ⇒複数部門の総合制御(広域大都市型、地方中核都市型)
4.欧州最新事例 ● リヨンスマートコミュニティ実証事業 ⇒再生可能エネルギーの有効利用を都市レベルで実現する我が国のスマートコミュニティ技術を海外で実証する事業として、フランス・リヨン都市圏のNEDOプロジェクトが実施された。 ① TASK1 新設ビルのPEB化 ② TASK2 スマート交通システム ③ 太陽光発電を優先利用する最適充電 ④ TASK3 既設住宅のスマート化 ⑤ TASK4 地域エネルギー可視化CEMS
● 再生可能エネルギー先進国 ドイツの最新事例 ① EWE NETZの概要 ⇒EWEグループはドイツ北西部の大きなエネルギー会社の一つ(ドイツで4番目)で、顧客数は、電力130万戸、ガス170万戸、通信70万戸である。 洋上風力発電事業にも参画している。 ② 2013年のドイツの電源構成のうち、25%を再生可能エネルギーが占めており、2050年までに80%まで伸ばしたいと考えている。 ③ 一方、EWE NETZに供給されている電源構成の再生可能エネルギーの比率は、2013年12月の段階で90%までに伸びており、ドイツ全体の目標をすでに上回っている。 ④ 2008年からは、再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電の設置数が、約40,000台増えている。 ⑤ Audi E-gas Plant ⇒e-gasプロジェクトは「Power to Gas」の世界初の工場規模プラント ⇒風力発電の電力を電気分解し、水素を製造する。この水素をCo2と合成しメタンを製造するという、再生可能電力を燃料大胆なプロジェクトである。 ⇒製造したメタンは既設のインフラに供給し、圧縮されたCNG自動車の燃料として使用される。ドイツ国内では、約700のCNGスタンドがあり、燃料供給には困らない。
3.これからの政策~省インフラとは→動き始めた省インフラ政策 ・モノのサービスの市場が縮小するシナリオを想定しておくことが重要 (国内空洞化→2020年は縮小する現実に沿った対応のはじまり) ・さらに迫る朽ちるインフラ問題(危機に対し一部の行政では「省インフラ」が始まっている。 ・行政は減少する予算で増大する更新需要をまかなうジレンマに陥っている (更新に際し機能維持を最優先にし、ストックを大幅に減らし維持費を削減する工夫が必要) ・省インフラの手法:3階層マネジメント(施設を維持するのではなく、機能を維持する考え方、公と民の連携が必須) ① 1層→全域→広域化 ② 2層→地域→多機能化→不動産有効活用 ③ 3層→地区→ソフト化 ・インフラ長寿命化計画(地方公共団体への展開→省インフラへの誘導) ・省インフラの基本手順 ① インフラの 洗い出し ② 広域化、多機能化、ソフト化等対策検討 ③ 上記を踏まえての長期更新維持計画の策定(指針では10年以上となったが、理想は30年) ・省インフラ時代に必要とされる計装技術 ① 多機能化・分散処理 ② 分散処理・バーチャル化 ③ ランニングコストの低減 *BASは施設の多機能化・分散処理を支援する ・遠隔計装技術は施設管理のバーチャル化を支援する (広域ビル管理ネットワークサービス→アズビル㈱製品)